「基本的対処方針」変更の方針了承 改正特措法で 諮問委員会

新型コロナウイルス対策の改正特別措置法が13日、施行されるのを前に、感染症の専門家などでつくる諮問委員会で「基本的対処方針」を変更する方針が了承されました。また、10都府県に出されている緊急事態宣言について、西村経済再生担当大臣は、医療提供体制が引き続き厳しい状況にあるとして、解除せず、当面、継続する考えを示しました。

諮問委員会の会合は、12日午前、東京・永田町の合同庁舎で開かれ、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣が出席しました。

冒頭、西村大臣は「新規陽性者数は減少傾向だが、医療提供体制は引き続きひっ迫している。特に高齢者施設での感染などが多発する中で、高齢者の感染者数がなかなか減らない状況だ」と指摘しました。

そのうえで「医療提供体制の厳しい状況が継続しているため、引き続き宣言を実施する必要がある」と述べ、10都府県に出されている宣言を解除せず、当面、継続する考えを示しました。

そして、改正特別措置法が13日、施行されることについて「罰則が設けられている措置については、文書で丁寧に説明し、要請や命令を行う場合は、あらかじめ都道府県で専門家の意見を聴くことになっており、人権に配慮した運用に努めたい」と述べました。

改正法では、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にするため、新たに「まん延防止等重点措置」を設けることなどが定められていて、会合では、こうした内容を踏まえて「基本的対処方針」を変更する方針が了承されました。

政府は、12日夜、菅総理大臣も出席して対策本部を開き「基本的対処方針」の変更を正式に決定することにしています。

西村経済再生相「10都府県 解除の議論なし」

西村経済再生担当大臣は、諮問委員会のあと記者団に対し「基本的対処方針」の変更が了承されたとしたうえで「変異したウイルス対策にしっかり取り組むことや、後遺症がかなり出ていること、それに繁華街を中心に1日1万件程度実施するモニタリング検査について、感染拡大の兆しをつかむ趣旨を書き込む修正がある」と述べました。

そのうえで、緊急事態宣言の扱いをめぐり「10都府県について、解除すべきだとか、別のところを追加すべきという議論はなかった。日々、さまざまな分析を行い、専門家と相談しながら対応したい」と述べました。

尾身会長「変異ウイルスの対応強化を」

諮問委員会のあと、尾身茂会長はNHKの取材に対し「緊急事態宣言の延長についての諮問があり、新たに解除する地域はないということでまとまった。むしろ、議論の中心は変異ウイルスの出現でいままで以上に強い対応をとる必要があるということだった。各地域で変異ウイルスの感染源がくすぶっている可能性があり、感染が拡大しているリスクが高い地域を中心に、症状がない人にも焦点を当てた調査をしっかり行って、感染源をいち早く見つけて感染を抑えていくことが重要だ」と述べました。

そのうえで、10都府県に出されている緊急事態宣言の解除について「状況を見て総合的に判断するべきだ」と述べました。

経済専門の委員 「長引くと投資困難 感染者数抑える必要」

経済の専門家の立場で諮問委員会の委員を務める、慶應義塾大学の竹森俊平教授は、記者団に対し「これからワクチンの対応をする余力を持つためにも病床の確保はさらに大事になってくるので、現在はまだ緊急事態宣言の解除はできない。一方で、宣言を長引かせたら投資を考えるのも難しい状況になるので、感染者数を抑えて安定させる必要がある」と述べました。