アメリカ FRB議長 “雇用環境の改善には官民挙げた支援必要”

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は、10日、講演し、先月のアメリカの失業率は実際の数字より大幅に悪く10%近いとしたうえで、雇用環境の改善には、今のゼロ金利政策の継続とともに、官民を挙げた支援が必要だという認識を示しました。

10日、ニューヨーク経済クラブで行われた恒例の講演はオンライン形式で行われました。

この中で、パウエル議長は、新型コロナウイルスの感染拡大後の労働市場について、改善を続けているものの、比較的高い賃金の分野に比べ、黒人やヒスパニックの雇用回復は遅れていて、経済的な格差がより広がっていると指摘しました。

また、パウエル議長は、レストランやホテルなどでの雇用の消失や、学校に行けない子どもの世話のために仕事に就けないなど、就職を諦めた人も多く、こうした人を含めれば、先月、6.3%まで改善した失業率は「実際には10%近くに達する」と述べました。

そのうえでパウエル議長は、雇用環境の改善には「辛抱強い緩和的な金融スタンスが重要だ」として、今のゼロ金利政策を当面続ける考えを示すとともに「雇用の最大化を実現するには、金融政策以上の取り組みも必要で、政府や民間部門を含む社会全体で取り組むべきだ」と述べました。