ロッテ 安田尚憲 三冠王の教え受けレギュラーを取りにいく

「ふがいないシーズンだった」
それが去年の自身を振り返り、最初に出たことば。先発で100試合以上に出場し、4番も任された21歳。強い覚悟を胸に、キャンプでは誰よりもバットを振り続けた。

原動力は去年の悔しさ

プロ野球 ロッテのキャンプ地、沖縄 石垣島の球場。

新型コロナウイルスの影響で無観客となる中、4年目を迎えた安田尚憲の声がひときわ、よく響いていた。それは今シーズンにかける思いをあらわしているかのようだった。

【安田選手】
「悔しかった経験を生かして、ステップアップしなきゃいけない。やっぱり去年のままでは、ことしは1軍で出られない。危機感を持って、キャンプは取り組んでいきたいと思っています」

安田は昨シーズン、5年前のホームラン王・レアードの離脱もあって、チーム最多の87試合で4番を任された。しかし打率2割2分1厘(規定打席到達の26人中25位)で、ホームラン6本と首脳陣が期待する成績を残すことはできなかった。

【安田選手】
「4番で使ってもらい、すごくいい経験になりました。でも、去年は起用してもらっただけです。サードで開幕先発をとるのが大前提なので、競争に負けないようにやっていきたいと思っています」

三冠王の打撃理論

オープン戦で結果を残し、レギュラーの座を勝ち取る。強い決意を持って臨む安田に、キャンプで心強い存在が現れた。ダイエー、ソフトバンクで活躍した平成唯一の三冠王・松中信彦だ。監督の井口資仁とはダイエー時代に同期入団の間柄。

ロッテは去年、チーム打率が両リーグ最下位、ホームラン数も9位と低迷した。安田をはじめとした若手の底上げを図るため、井口は松中の卓越した打撃理論に期待したのだ。

【井口監督】
「長距離打者を育成していくという課題があったので『ロッテのバッターを成長させてほしい』と、お願いをしました。実績も経験も豊富な人なので、選手にいろんなことを伝えてほしい」

打撃の肝は下半身

松中が指導で強調したのは下半身主導のバッティング。力強い打球を飛ばすには欠かせないが、安田は上半身と下半身の連動がうまくいっていないという。

このため、ティーバッティングは通常より足を広げ、上体を深く落とした形で取り組ませた。
【松中臨時コーチ】
「もっと下半身主導というか、下半身のパワーを上半身に伝えて、バットに伝えるという意図で練習をさせています。意欲的にバットを振ってくれているし、いいコミュニケーションをとりながら、練習は長いですけど、楽しく若い選手とやっています」

連日の猛練習で体にスイングを覚え込ませる

安田は全体練習終了後、連日居残りのバッティング練習に取り組んだ。キャンプ2日目には、50球連続でティーバッティングを行った。これは、ほかの選手の2倍以上にあたる。

安田は50球目を打ち終えると「あかーん」と叫びながら、その場に倒れ込んだ。キャンプ序盤で、すでに安田の手は至るところで皮がむけ、テーピングだらけになっていた。

【安田選手】
「めちゃくちゃきついですけど、本当に何とか食らいついている感じです。その分、充実したキャンプが送れていて、バットが多く振り込めています。技術面も少しずつよくなってきていると思います」

つかみ始めた感覚

キャンプが始まって1週間。安田は下半身主導のスイングに一定の手応えを感じている。

トスされた緩いボールを打つロングティーは、体全体でしっかりバットを振らないと飛距離が出ない。このロングティーで納得のいく打球が増えているのだ。

【安田選手】
「ロングティーは、しっかり大きく体を使わないと、ボールは飛びません。今は高いフライを打つイメージでやってるので、その中でどうやって下を使ってやれるかと言うことだと思う。だいぶいい打球というか、いい質というか、そういう打球が増えてきている。シーズン中も継続してやっていきたい」

松中も体全体を使ったスイングを身につけようとする安田の取り組みを評価している。

【松中臨時コーチ】
「しっかりボールがバットにひっつく時間が長くて運べているということは、しっかり下半身が使えている証拠なんですね。その点はすごく成長しているなと思うし、逆に今のまま、彼が信じてやっていってもらったら、いい結果につながるんじゃないかなという期待があります」

昨シーズンの経験をむだにしない。安田はハードな練習をみずからに課し信頼される主軸を目指す。

【安田選手】
「しっかり下半身を使ったバッティングを意識したい。去年は、どうしても小手先に走ってしまった部分もありました。ことしは、しっかりとした軸を作って1年間戦い抜けるようにしたい」