コロナ禍でひとり親世帯の家計ひっ迫 支援団体が継続支援訴え

首都圏の1都3県などへの緊急事態宣言が続く中、ひとり親世帯などを支援する団体が会見し、多くのひとり親世帯で家計がひっ迫しているとして継続的な支援を訴えました。

一般社団法人の「ひとり親支援協会」は9日、厚生労働省で会見を開き、全国のひとり親世帯などを対象に今月1日までの10日間で行ったインターネット調査の結果を発表しました。

それによりますと、回答があったおよそ1800人のうち、73.2%が新型コロナウイルスの影響で仕事が無くなるなどして収入が減った、もしくは減る見込みと答え、去年10月にこの団体が行った同様の調査と比べて、7.6ポイント増加したということです。

また、国がひとり親世帯に支給した臨時特別給付金について聞いたところ、92%がすぐに生活費や借入金の返済などに使ったと答えたということです。

団体では、卒業や入学のシーズンとなるこの時期は特に出費が重なることへの不安が高まっているとして、国に対し、ひとり親世帯への給付金の再支給や児童扶養手当の所得制限の緩和など継続的な支援を要望したということです。

団体の今井智洋代表理事は「多くのひとり親世帯から不安の声が寄せられている。国は、今後も支援を続けてほしい」と話していました。

“ひとり親”の女性「普通に生活したい」

長引く新型コロナウイルスの影響で、ひとり親の世帯がどのような困難に直面しているのか、東京都内の40代の女性に話を聞きました。

女性は、都内の飲食店で非正規のスタッフとして働きながら中学生から大学生までの3人の子どもを1人で育てています。

去年春に出された緊急事態宣言では、解除された後も店には客が戻らず、仕事に入れる時間が減りました。

月々の給料の手取りは、以前より4万円から5万円少ない17万円ほどになり、毎月、家賃の半額を親から借りて、なんとか暮らしてきました。

そして今回、2回目の緊急事態宣言が出されてからはさらに勤務時間が減りました。

児童扶養手当などは受け取っていますが、生活は厳しく、女性はこれから暮らしていけるのか不安を感じています。

こうした中、4月からは1番下の子どもがスポーツ推薦で高校への進学が決まり、入学金を支払ったため貯蓄はほぼ無くなったといいます。

勤めている飲食店ではこの春から正社員になることを勧められていましたが、コロナの影響で店の経営がひっ迫する中、その話は立ち消えになってしまったといいます。

女性は「食費を切り詰めるなど最低限の生活をしていますが、私が倒れたら家が崩壊してしまうので、さらに別の仕事をするのは難しい状況です。4月、5月は、子どもにいちばんお金がかかる季節でなんとか乗り越えたいと思っています。『明日生きられるかな』と思わずに普通に生活することが今のいちばんの望みです」と話していました。