宮城県 ホテル療養者にレントゲン検査 独自の取り組み開始

新型コロナウイルスに感染して療養中に容体が急変したり死亡したりするケースが各地で報告されるなか、宮城県は、放射線技師がホテルを訪問して患者のレントゲンを撮影し、容体の変化がないか確認する独自の取り組みを始めました。

宮城県は新型コロナウイルスに感染した軽症や無症状の患者は仙台市内に確保した2つのホテルで療養してもらい、看護師が24時間常駐して対応にあたるほか、軽症者用のホテルでは東北大学病院の医師が週3回の往診を行っています。
患者が療養中に容体が急変したり死亡したりするケースが各地で報告されるなか、宮城県は容体の変化を見逃さないようにするため、軽症者が療養しているホテルでレントゲンを撮って肺炎の有無を確認する独自の取り組みを始めました。

放射線技師が患者が療養している部屋を訪問し、災害時に使われる持ち運びが可能な機器を使って撮影します。

撮影された画像は県独自のシステムを使って往診を担当する医師や県庁内で入院調整を行う医師で共有され、患者の入院が必要かどうかの判断に活用されているということです。
入院調整を担う東北大学病院の石井正医師は「ホテル内で検査できることで病院の業務に近い形となり、入院かどうか判断に迷うケースでは補強材料になる。医師にとっても患者にとっても安心感につながる取り組みだ」と話しています。

患者は部屋にいたまま検査 負担軽減に

ホテルで療養中の患者にレントゲン検査を行う場合、これまでは検査ができる病院に車で運ぶ必要がありました。

しかし患者を運ぶ車両の確保に加え、検査する医療機関の調整や感染防止対策も必要で、簡単には検査することができず、医療機関にとっても患者にとっても大きな負担になっています。

今回の仕組みを導入したことで、患者は部屋にいたままで検査できるようになり、大きな負担軽減につながったということです。

宮城県によりますと、ホテルでの検査は8日までに36件行われ、レントゲンで肺炎とみられる影が確認されホテルから入院に移行した人もいたということです。

ホテルへの往診を担当している東北大学病院の高山真医師は「患者と話をしていて、急に容体が変化した時には、私たちも不安になることがあるが、レントゲン検査をすることで正しい診断につながっていく」と話しています。

致死率 全国で3番目の低さ

宮城県では7日までに3477人の感染が確認され、人口10万人当たりの累計の感染者は全国で21番目です。

一方で感染者のうち、死亡した人の割合・致死率は、7日の時点で0.63%と全国で3番目に低くなっています。

致死率を低く抑えられているのは、仙台市とその周辺の自治体の患者の入院調整のために県が設置した「医療調整本部」で、経験豊かな医師が調整を担っていることがあります。

主に保健所が行っていた調整を医師が代わりに行い、患者の持病や容体に応じて、入院が必要だと判断されれば、速やかに適切な医療機関に振り分けられるようになりました。

ホテルなどで療養することになった患者には、血液中の酸素の値を測る「パルスオキシメーター」の配付も行っていて、これまでにホテルや自宅での療養中に死亡した人はいません。

宮城県新型コロナ総合調整チームの赤間正行チーム長は「コロナの収束がいつになるかわからないが、感染しても安心して療養できる環境を整備することは行政の責務だ」と話しています。