コロナ感染でにおい感じる組織損傷 動物実験で確認 東大など

新型コロナウイルスに感染すると早い段階で鼻の奥にあるにおいを感じる組織が損傷することを東京大学などのグループがハムスターを使った実験で確認したと発表しました。感染後に嗅覚異常が起こる仕組みの解明などに役立つ研究として注目されています。

この研究は、東京大学とアメリカ・テキサス大学などのグループが発表しました。

グループでは、特殊なハムスターおよそ30匹に新型コロナウイルスの量を変えながら投与し、鼻の奥にある「嗅上皮」と呼ばれるにおいを感じる組織の変化を調べました。

その結果、投与したウイルスの量が非常に少なかったハムスターを含め、すべてのハムスターで感染から3日後には嗅上皮の広い範囲が傷ついていたということです。

大部分は感染から3週間後には、元の状態まで回復しましたが、一部は、3分の2程度しか戻っていませんでした。
グループによりますと、新型コロナウイルスでは感染者の18%から45%が治ってからも何らかの嗅覚異常が残ったという報告があるということで、研究を行った東京大学の浦田真次研究員は「実際の動物の組織で鼻の中がどう変化するのかわかったことは重要だ。ヒトの鼻の中でも同様の現象が起きている可能性があり、今後は嗅覚異常が起こる仕組みの解明や、治療方法の開発につなげていきたい」と話しています。