福祉施設などの消防査察 コロナ禍で計画の8割実施できず 福岡

新型コロナウイルスの影響が建物の防火体制を確認する消防の査察にも及んでいることがわかりました。高齢者や障害者の施設では感染防止の徹底が特に必要とされていることから、福岡県内の消防のおよそ8割が計画どおりの査察を実施できていないことがNHKの取材でわかりました。

消防の査察は消防法に基づいて防火設備の点検などを行うもので、年間計画に沿って商業施設や事務所などさまざまな建物に消防の職員が立ち入り、防火体制を確認します。

この査察について、福岡県内の2つの消防局と22の消防本部にNHKが取材したところ、感染対策の徹底が特に必要な高齢者や障害者の福祉施設では、およそ8割の消防が計画どおりの査察を実施できていないことがわかりました。

このうち、福祉施設ではすべての査察を控えていると答えた消防や、査察は実施しているものの計画の半分以下にとどまっているとしたのはそれぞれ5つの消防でした。

このほか、立ち入りは実施せず電話の聞き取りで査察を行ったという消防も3つあり、感染すると重症化のおそれがある高齢者などが入居する施設では立ち入りに慎重にならざるをえない難しい実情がうかがえます。

各消防の担当者は「福祉施設は家族も面会できない状況で、立ち入るのは難しい」とか「事前に電話をして了承が得られた場合のみ出向いている」などと話しています。
こうした実情を踏まえて、福岡県内の一部の消防では、立ち入りによる査察の代わりとして、スマートフォンを使ってパソコンの画面越しに防災設備を確認する「リモート査察」を行ったり、独自のチェックシートを作って点検を依頼したりするなど、コロナ禍の変化に対応するための模索を始めています。