タクシーをコロナ患者専用に改造 症状軽い入院患者の搬送担う

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、患者の病院への搬送をどのようにスムーズに進めていくかも課題です。こうした中、都内のタクシー会社はコロナ患者専用に車両を改造し、保健所の依頼を受けて比較的症状が軽い入院患者の搬送を担っています。

東京都内に本社がある大手タクシー会社「日本交通」は、日本財団と連携し去年7月から保健所が比較的症状が軽いと判断した入院患者の搬送を担っています。

所有するタクシーの車内の前後を厚手の透明カーテンで隙間なく仕切るなど、感染対策を徹底しているということです。

現在は14台を稼働させていますが、最近は病床のひっ迫で患者を遠くの病院に搬送することも多く、1台当たり1日で3人を搬送するのが精いっぱいだということです。

志願したドライバーが業務にあたっていて、取材した江東区の営業所では、5人のドライバーが午前中からスタンバイし、本社からの依頼が入ると次々に出発していました。

このうち粕谷次郎さんは感染が確認された若い女性を墨田区の病院に搬送しました。

粕谷さんは「女性は終始だるそうに乗っていて、心配そうに両親が病院に送り出していました。両親はものすごく不安だったと思います」と話していました。

そして、「患者さんと医療の橋渡しをする大切な仕事だとやりがいをもっていますが、感染する人がいなくなって1日でも早くこの仕事をやらなくていい日がきてほしいです」と話していました。

無線センターには保健所からの依頼

タクシーを配車する千代田区の本社にある無線センターを訪れると、東京23区の保健所から搬送の依頼がひっきりなしに入っていました。

担当者はパソコン画面に表示された車の位置情報をもとに、経験を頼りに最も早く配車できる車を素早く判断し、保健所に到着時間を伝えていました。

取材していたおよそ1時間に8件の依頼があり、タクシーの空きはあっという間になくなっていました。

日本交通によりますと、この日は合わせて26件の依頼があったということですが、先月は1日30件を超える依頼が続き、一部は断らざるを得なかったということです。

日本交通管理部秘書・広報担当の土屋真吾さんは「依然として多い搬送の要請にこれからも応えていけるように会社として運用を改善していきます。われわれの出動が減るように、皆さんにも感染対策に引き続き取り組んでいただいて、この難局を一緒に乗り越えていければと思います」と話していました。