コロナで二極化 業績見通し上方修正目立つ 上場企業決算

日本企業の業績の二極化が進んでいます。上場企業の去年12月までの決算は、新型コロナウイルスの影響を受ける運輸などで厳しい業績となっている一方、テレワークの普及などで電気機器といった業種は、業績見通しを上向きに修正する企業が目立っています。

SMBC日興証券は東京証券取引所の1部に上場する3月期決算企業のうち、4日までに第3四半期の決算を発表した713社の内容を分析しました。

それによりますと▼最終的な利益が「増益」の企業は全体の41%にあたる294社▼「減益」は43%にあたる312社、▼「最終赤字」は14%にあたる104社でした。

各社の最終利益を足し合わせると、前の年の同じ時期より25%減少していて、新型コロナの感染拡大の影響を大きく受けている「空運業」や「陸運業」、それに「サービス業」の落ち込みが目立っています。

一方、今回の決算で1年間の最終的な利益の予想を上方修正した企業は228社で、下方修正した35社を大きく上回りました。

上方修正した企業を業種別に見ますと、▼テレワークの普及などで業績が回復している「電気機器」が37社、▼「化学」が24社、▼「情報・通信業」が18社などとなっていて、業種によって業績が二極化する形となっています。

SMBC日興証券の安田光株式ストラテジストは「コロナ禍でも需要を取り込める企業は業績を伸ばす一方で、今の生活スタイルで業績を確保できないところは厳しい決算になっている。通期では全体として業績は回復する傾向にあるが、緊急事態宣言で利益を確保することが難しい企業も出てくると見られる」と話しています。