衆院予算委 新型コロナ 生活支援策などめぐり論戦

衆議院予算委員会では質疑が行われ、新型コロナウイルスの影響が続く中、立憲民主党の枝野代表が、生活に困窮している子育て世帯に新たな給付金を出すよう求めました。
菅総理大臣は、セーフティーネットとして講じている施策を活用して乗り越えてもらいたいと述べました。

コロナ 医療体制について

自民党の木村弥生氏は「ワクチンの接種がスタートするにあたり、資格を持っていても仕事をしていない『潜在看護職』を活用してもらいたい」と求めました。

これに対し、菅総理大臣は「去年12月に最前線を視察して、医療従事者の姿を目の当たりにし、負担を軽減し支援しなければならないと思った。コロナ対応の病院に派遣される医師や看護師の処遇も倍増した。現場で頑張っている皆さんの気持ちに寄り添いながら、感染対策にしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

また田村厚生労働大臣は、新型コロナウイルスに感染した医療従事者の数について「労災の支給決定件数では、1月29日の段階で、医療業で働く医療従事者全体で1134件、このうち死亡された方は2件だった」と述べました。

ワクチン接種のスケジュールは

公明党の竹内政務調査会長は「新型コロナの収束は、まさにワクチン接種が成功するかどうかにかかっている。綿密な接種計画のもと、地方自治体と緊密に連携して迅速に行わなければならない」と指摘しました。

菅総理大臣は「これまで経験したことのないような一大プロジェクトだ。有効性、安全性を確認したうえで、2月中旬から医療従事者へ接種を始め、高齢者は4月から始めていきたい。副反応や効果を含めて、科学的知見に基づいた正しい情報を丁寧に伝えていきたい」と述べました。

また、ワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣は「ワクチンの供給スケジュールを確定させることができず、自治体には大変なご迷惑をかけていることをおわびしたい。情報を出せるものは早め早めに出していくことを徹底していきたい」と述べました。

テレワーク普及

公明党の稲津久氏は「自粛や自制を迫られているが、大きく進んだのがテレワークではないか。感染防止の観点から有効であるとともに、地方に人の新しい流れをつくり、地方創生に最大の貢献をする」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「地方にいても、都会と同じ仕事、同じ生活ができる環境を作り出していく。大きな人の流れを作ることのできる最高の機会ではないか。離島を含め、全国に光ファイバーを張り巡らせ、中小企業の設備投資も支援し、働き方に対する意識の変化を促して、テレワークを普及させていきたい」と述べました。

生活困窮の子育て世帯支援

立憲民主党の枝野代表は、ひとり親世帯への給付金をめぐり「年末に一度、給付金を出したが、進学や進級の時期に向けて、とても乗り切れない状況だ。追加の支援と、ひとり親だけでなく生活に困窮している子育て世帯に対して、新しい給付金を出せないか」と求めました。

これに対し、菅総理大臣は「新型コロナの影響が長引く中で、ひとり親家庭も含めて、依然として生活が厳しい家庭もあることは認識している。緊急小口資金などの限度額を引き上げるとともに、住居確保給付金の再支給を行うとしていて、重層的なセーフティーネットをぜひ活用して乗り越えていただきたい」と述べました。

また、田村大臣は、中小企業で働く人に支給される休業支援金について、菅総理大臣が「大企業でも休業手当を受け取りづらい勤務形態の人は対象とする」と答弁したことを受けて「菅総理大臣が『やる』と言っており、指示を受けている。制度設計をしっかりやらなければならず、対象や期間などを詰めて、やる」と述べました。

菅首相長男の接待報道について

立憲民主党の黒岩宇洋氏は、総務省の幹部4人が、衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男から接待を受けたと報じられたことについて「自分の家族や、いちばん近いと言われている総務省をかばっているとしか思えない。なぜこの人たちは、総理のご子息とここまで会食をしたのか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「全く承知していないが、息子であれ、誰であれ、指摘されるようなことがあったかはしっかり調査してもらう必要がある。私とは完全に別人格だから、そこはぜひご理解いただきたいし、長男にも家族がいるし、プライバシーも、もちろんある」と述べました。

そのうえで「長男から電話があったときに『会社から聞かれたら、事実に基づいてしっかり対応するように』とは伝えた。総務省において、すでに調査が開始されているようだが、国民の皆さんから疑念を抱かれるようなことは絶対ないように、ルールに基づいてしっかり対応する必要がある」と述べました。

また、報じられた幹部の1人、総務省の秋本情報流通行政局長は、去年12月に菅総理大臣の長男と会食したことを認め「当初、出席者に利害関係者はいないと認識していたため、自己負担を行っていなかった。取材を受ける過程で、利害関係があると思われる会社の社長等を兼ねている方がいることが判明し、まずは確認できる範囲での返金を行っている」と説明しました。

そのうえで、返金した金額などについては「調査を受けている最中で、この場での答えは差し控えさせていただきたい」と述べました。

接触確認アプリ「COCOA」について

菅総理大臣は、新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」をめぐり、一部の利用者に通知などが行われていなかったことについて「お粗末なことだった。二度とこうしたことがないように、緊張感を持って対応したい」と述べました。