新型コロナ 特措法など改正案 参院本会議で可決し成立

新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案は、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。

新型コロナウイルス対策として事業者や感染者への罰則などを盛り込んだ、特別措置法などの改正案は、衆議院で入院を拒否した感染者に対する刑事罰を削除するなどの修正を行ったうえで、2日参議院で審議に入りました。

そして、3日は内閣委員会で可決されたのを受け、参議院本会議に上程され、討論が行われました。

この中で、自民党の酒井庸行氏は「これまで得られた知見や経験を踏まえた特別措置法や感染症法などの改正案を一刻も早く成立させ、感染症を完全に抑え込むための対策を進めなければならない。より有効な措置を講ずることができるよう速やかな成立をお願いしたい」と述べました。

一方、共産党の田村政策委員長は「患者に対する罰則を設けることは、感染症対策の進むべき方向をねじまげる歴史的な逆行だ。事業者に対する罰則規定も、長期にわたる新型コロナの影響で苦境に立つ事業者に、補償もなく、休業や時短営業に従わせるというものであり反対だ」と述べました。

このあと採決が行われ、改正案は、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。

改正法は3日公布され、今月13日に施行されます。

菅首相「特措法 権利配慮し効果あげたい」

菅総理大臣は3日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「国会の関係者のご尽力で、迅速に法案が成立したことに感謝申し上げたい。この法案はまさに支援策と行政罰をセットにし、より実効性を高めるものだ。確かに感染者数は減少傾向にあるが、さらに減少させるため、この法律をいかし、個人や事業者の権利に十分配慮しながら、効果をあげていきたい」と述べました。

西村経済再生相「丁寧な運用を肝に銘じたい」

西村経済再生担当大臣は、記者団に対し「去年、緊急事態宣言を出して以来、法律の実効性を上げていくためにどうしたらいいかずっと考えてきたので、感慨深いものがある。今回の宣言の解除後も『まん延防止等重点措置』を機動的に活用しながら、感染拡大をしっかりと抑えていきたい」と述べました。そのうえで「私権の制約を伴う措置が導入されるので丁寧な運用を肝に銘じたい。事業者への支援策をしっかり講じ、感染拡大を抑えていくと改めて決意している」と述べました。

自民 下村政調会長「抑止力 効果を期待」

自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「新型コロナウイルス対策の実効性を高めるために大変重要な法案で、多くの野党の賛同も得て成立することに感謝したい。罰則ありきではないが、ルールを守らない人が得をすることにはならない意味で、抑止力の効果が期待される」と述べました。

立民 福山幹事長「野党第1党の責任果たせた」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「100点満点とは言えないが、われわれが主張した刑事罰の削除や規模に応じた事業者支援の在り方が取り入れられたので、野党第1党としての責任が果たせた。緊急事態宣言の延長で、さらに厳しい状況に陥る事業者などが多く出てくると思うので、それぞれに応じた支援について具体的かつ緊急に対応するよう政府に強く求めていきたい」と述べました。

公明 山口代表「抑止力として機能を期待」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「直面する課題について、与野党で議論を重ねて幅広い合意をつくったことは高く評価されるべきだ。改正法は、罰則を科すことより、抑止力として機能することを期待する。感染拡大を防止し、最終的には収束に向かうよう全力を挙げていきたい」と述べました。

田村厚労相 「私権制限 重い法律」

田村厚生労働大臣は、記者団に対し「私権を非常に制限する重い法律だ。本来ならば、短期間で成立するにはそぐわない法律で、国会で幅広い意見を聞くため、政府と与野党の協議会に諮りながら国会に提出した。いろんな懸念のほか、『運用を慎重にするように』とか、『現場の事務の負担が過重にならないように』など意見をいただいているので、しっかり法律を運用していきたい」と述べました。