ワクチン接種へ準備進む きょうの各地の動きは

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ“切り札”として期待されているワクチン。今、全国で接種に向けた準備が進んでいます。3日の動きをまとめました。

1. 仮設の接種会場 丸ごと建てて提供<大阪>

大阪市の会社は大型テントを使った仮設の接種会場を丸ごと建てて提供するサービスを始め、接種作業のシミュレーションが行われました。

このサービスはイベント用の機材などのレンタルを行う大阪市の会社が始め、大阪 住之江区にある会社の敷地には1日から2日にかけて大型のテントやパーティションを使って仮設の会場が建てられ、3日、接種の作業の流れを確かめるシミュレーションが行われました。

幅15メートル、長さ25メートルの会場の内部には、厚生労働省の手引きに従って受付や同意書を記入するスペース、待合所などが設けられています。
また、会場は一方通行で同時に3系統の人の流れで接種を進めることができ、接種が終わった人の待機場所として別の大型テントも設置されています。

3日は自治体の担当者も訪れ、中の様子を動画で撮影したりいすの間隔を測ったりしていました。

大阪 寝屋川市の担当者は「特設会場を作るための勉強にきました。今回得られた情報をもとに導入するか検討を進めていきたい」と話していました。

レンタル会社によりますと、今回の規模の会場を設置するには1000平方メートル=おおむねテニスコート4面程度の広さが必要ですが、1日ほどで建てられるということです。

また、設置とレンタルの費用は1か月でおよそ2000万円だということです。
レンタル会社「西尾レントオール」の西尾公志社長は「自治体も悩んでいると思いわれわれの資材でできるものを作ってみた。各自治体の実情に合わせた規模の会場を提供したい」と話していました。

2. 接種状況把握のシステム 概要を市町村に通知<政府>

新型コロナウイルスのワクチンの接種に向けて、政府はマイナンバーを活用して自治体が個人単位の接種状況をリアルタイムに近い形で把握できる新たなシステムの構築を進めていて、3日、その概要を全国の市町村に通知しました。

それによりますと、新たなシステムが構築されれば引っ越しなどの事情で2回の接種を異なる自治体で受けたり、接種に必要なクーポン券を紛失したりした場合の対応が向上するしています。

そして、クーポン券に印刷された番号やバーコードを読み取って接種状況を把握する仕組みを導入し、接種の会場ではマイナンバーやマイナンバーカードを扱うことはないとしています。

また、新たなシステムは接種の予約には対応しないものの、自治体が導入する場合は連携も検討するとしています。

政府は新たなシステムについて今後も自治体に情報を提供し、円滑なワクチン接種につなげたいとしています。

3. チーム発足 課題の解決へ<東京>

東京では、都や医師会、区市町村などからなるチームができました。

3日は都庁で初会合が開かれ東京都の梶原副知事は「今回の大規模接種は過去に例をみない一大プロジェクトだ。情報を共有し連携を深めて、円滑かつ迅速な接種体制の構築に向けチームとして一丸となって進めていきたい」と述べました。

会合は冒頭をのぞいて非公開で行われ、都によりますと医師会からは住民より先に接種が予定されている医療従事者の数などが報告されたということです。

また、区市町村からは住民への接種に向けた準備状況が報告されたということです。

チームでは今後、実際の接種に向けた会場の確保状況などを共有して課題の解決を図るほか、都が国との調整などを行い接種スケジュールなどの情報を示していきたいということです。

4. 集団接種想定の訓練<鳥取 琴浦町>

鳥取県の琴浦町は集団接種を想定した訓練を行い、接種にかかる時間や職員の配置などを確認しました。

訓練はワクチンの集団接種の会場となることが想定されている琴浦町の保健センターで行われ、町の職員およそ40人が参加しました。

職員は住民や医師などの役にそれぞれ分かれると、住民役が問診票への記入やワクチンの接種、その後の経過観察までの流れを体験し、接種にかかる時間や誘導にあたる職員の配置などを確認しました。
訓練のあと、町の担当者が気付いた点について意見を交わし、
▽誘導役の職員が不足していることや
▽移動する先を示すための床の矢印がわかりにくかったことが課題にあげられました。

また、
▽国が全国の自治体に参考にしてもらおうと示した集団接種の会場の配置図にとらわれることなく、柔軟に対応したほうがよいという意見も出されました。
琴浦町の小松弘明町長は「集団接種に向けて今回見つかった問題を再度検討しシミュレーションを繰り返して備えたい」と話していました。