ロシア研究機関 “ロシア製ワクチンの有効性91.6%”と発表

ロシアなど複数の国ですでに接種が始まっている新型コロナウイルスのワクチンについて、開発したロシアの研究機関は、最終段階の臨床試験で91.6%の有効性が示されたとする中間報告をイギリスの医学雑誌ランセットに発表しました。

ランセットは「このワクチンの開発は見苦しいほどに性急で、透明性を欠いたことで批判を招いてきたが、今回の結果は明確だ」とするコメントを併せて掲載しました。

掲載されたロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所の中間報告によりますと、臨床試験は18歳以上のおよそ2万人を対象に実施し、無作為に選んだ4分の3の人にはこのワクチンを2回接種し、残りの人には「プラセボ」と呼ばれる偽薬を接種して、それぞれ新型コロナウイルス感染症になった人の割合を比較しました。

その結果、新型コロナウイルス感染症と確認された人は、ワクチンを接種したおよそ1万5000人では16人、0.1%だったのに対し、プラセボのグループではおよそ5000人中62人、1.3%だったということで、91.6%の有効性が示されたとしています。

ワクチンを接種した人のうち45人、およそ0.2%から深刻な健康への影響があったという報告がありましたが、この割合はプラセボのグループの半分で、ワクチンとの関連はないとみられるとしています。

このワクチンについて、ロシアは世界に先駆けて開発に成功したとして、去年8月に承認し、すでに複数の国で接種が始まっていますが、国内外からは臨床試験のデータの公開が不十分だという指摘が出ていました。

ランセットは「このワクチンの開発は見苦しいほどに性急で、透明性を欠いたことで批判を招いてきたが、今回の結果は明確だ」とするコメントを併せて掲載しました。

売り込みに一層力を

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は、3日、メディアに対して「ロシアのワクチンの安全性と有効性を非常に説得力を持って示した」と述べました。

ワクチンの海外への供給を担当しているロシア政府系のファンドによりますと、このワクチンは、現在、アルゼンチンやイランなど南米や中東など15の国と地域で承認されたり、緊急の使用が許可されたりしていて、ロシア側は、イギリスの医学雑誌への掲載も弾みにワクチンの売り込みに一層力を入れるとみられます。

一方、ペスコフ報道官は、プーチン大統領がワクチンを接種するかについては「その時になれば大統領自身が発表するだろう」と述べるにとどまりました。

ロシアではこのワクチンを含め2種類のワクチンが承認されているほか、近く3種類目のワクチンも承認される見通しです。

ロシアでは、ワクチンの有効性などに懐疑的な見方をする国民も多い中、プーチン大統領がワクチンを接種する場合、どのワクチンを使用するかが安全性などを示す1つの指標になると関心を集めています。