新型コロナ「症状の悪化は急速」感染した男性 恐怖語る

新型コロナウイルスに感染して自宅療養中に死亡する人が相次ぐ中、先月入院調整中に症状が急激に悪化する経験をした千葉県の男性がNHKの取材に応じ「こんなに熱が出て不安になった経験は初めてで、感染拡大を防ぐ個々の心がけがすごく大事だと感じた」と振り返りました。

千葉県によりますと、県内では入院調整中などの人も含めて自宅で療養している人が4300人にのぼります。

先月自宅療養中に2人が死亡したほか、自宅で検査結果を待つ間に亡くなり、その後、陽性が確認されたケースもありました。

年末、妹と墓参りをしたあとに…

こうした中、先月感染が確認され、入院調整中に症状が急激に悪化する経験をした千葉県八街市の永山清さんが(63)がNHKの取材に応じました。

永山さんは1人暮らしで、年末、父親の命日に久しぶりに会った妹と一緒に墓参りをしました。

感染者数の急増はニュースで知っていましたが、自分がまさか感染するとは思っておらず、少し油断があったといいます。

その後、妹が発熱し、先月2日になって自身も39度2分の発熱と味覚障害の症状が出ました。

『電話でない、かからない!』

このため、千葉県の「発熱相談センター」に電話をかけましたが、全くつながりませんでした。

当時、コールセンターはシステム障害が原因で電話がつながりにくくなっていました。

永山さんが当時の状況を記したメモには「電話でない、かからない!」と書かれていて、ようやく電話がつながったのは16時間余りたった翌日(3日)午前5時前でした。

永山さんは当時の心境を「ほかに頼れるところがなく、とにかくかけ続けるしかありませんでしたが、だんだん怖くなりました」と話していました。

帰宅途中に 熱がぐんぐん上がる感覚に激しいせき

次の日に検査を受けられることになり、熱が37度台まで下がっため自宅からおよそ15キロ離れた病院まで自分で車を運転して向かいました。

しかし検査を受けたあと、帰宅する車中で熱がぐんぐん上がる感覚があり、これまでなかった激しいせきも出て呼吸困難のような状態に陥り帰宅後すぐに119番に通報して助けを求めました。

ただ、救急隊からは「保健所からの指示を待ってほしい」と言われ搬送はされず、検査結果が出て陽性と判明したあと病床が空くまでの3日間、自宅待機を余儀なくされました。

その間、保健所の紹介を受けて受診した別の病院では肺炎と診断されたということです。

「症状の悪化は急速」感染予防の大切さ 知ってほしい

入院した当日、病室から友人に送った動画には、しゃべろうとすると激しくせきこむ様子がおさめられていました。

永山さんは「いったん熱が下がったので『もう大丈夫だ』と思いましたが、症状の悪化は急速でした。不安が大きく、ソファーで毛布をかぶり目の前に電話を置いて保健所から入院先の連絡が来るのを待ち続けました」と振り返っていました。

その後、病院で酸素投与などを受けて回復し、先月18日に退院しましたが、感染の確認から1か月近くがたった今も味覚や嗅覚は完全には戻っていないということです。

自分の経験を伝えることで感染予防の大切さを知ってほしいとしています。

永山さんは「入院がもう少し遅ければ自宅で死んでいたのではないかとぞっとします。こんなに熱が出て不安になった経験は初めてで、感染拡大を防ぐ個々の心がけがすごく大事だと感じました」と話していました。