沖縄 宮古島派遣の医師「病棟は患者であふれかえりそう」

沖縄県宮古島市で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受け、沖縄県は市内の病院へ医師や看護師の派遣を進めています。こうした中、29日、派遣されている医師がNHKの取材に応じ、医療提供体制がひっ迫している厳しい現状を明らかにしました。

宮古島市では新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受け、指定医療機関の県立宮古病院では一般外来の受け付けを取りやめ、専用病床を増やして対応しています。

28日の時点で44床すべてが埋まっていて29日、17床増やして61床としましたが、すぐに54床が埋まり、ひっ迫した状況が続いています。

沖縄県は医師や看護師の派遣を進めていますが29日、派遣されている感染症が専門の椎木創一医師がNHKの取材に応じ、病院の現状について話しました。

椎木医師は「病棟は患者であふれかえりそうで、隣の病棟まで病床を広げて対応している。今は一般的な医療を切り落としても新型コロナウイルス対応にエネルギーを注がざるをえない危ない状況だ」と危機感を示しました。

また、入院患者の多くが高齢者だということで「重症化する高齢者が増え病状を確認するモニターを全員につけきれず、誰につけるか調整しなければいけない」と厳しい状況を明かしました。

そのうえで「宮古病院だけでは支えきれないので、PCR検査や自宅療養者の対応などは地域のクリニックや医師会が積極的に関わる仕組みが重要だ」として医療体制を地域全体で強化する必要性を指摘しました。

外来の診察受けられず 不安募らせる

県立宮古病院では急増する新型コロナウイルスの感染者に対応するため、今月26日から来月1日まで一般外来の受け付けを取りやめています。

市内に住む佐渡山正樹さん(57)の息子、楽紋くん(4)は、口の病気で1歳のときに手術を受けて以来、宮古病院の一般外来で月に1回ほど定期的に経過観察を受けています。

次は来月12日に病院へ行く予定ですが、佐渡山さんが病院に問い合わせたところ受け付けの取りやめ期間が延長され、診察を受けられない可能性があると伝えられました。

佐渡山さんは経過が順調かどうか確認できないおそれもあることに不安を募らせています。

佐渡山さんは「『良好ですね』と一言もらうだけでも大変ありがたいのですが、それがなくなってしまうと不安になります。すぐの再開はできないかもしれないが、部分的にでも診察を受けられるようにしてほしい」と話していました。