刑事罰削除で正式合意へ 特措法など改正案修正協議 自民・立民

新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案をめぐる修正協議で、自民党と立憲民主党は、営業時間の短縮命令に応じない事業者に対する過料を、50万円以下から、30万円以下に引き下げることなどで正式に合意する見通しです。

新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法の改正案をめぐる与野党の修正協議は、27日までで行われた実務者協議の結果を踏まえ、28日、自民党と立憲民主党の国会対策委員長が断続的に会談して、詰めの調整を進め、このあと、両党の幹事長が会談して5つの項目について正式に合意する見通しです。

これまでの調整によりますと、感染症法の改正案では、入院を拒否した感染者に対する罰則について、「1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す」としていたのを、懲役刑を削除するとともに、罰金を「50万円以下の過料」に改めるとしています。

また、保健所の調査に虚偽の申告をしたり、拒否したりした場合は、「50万円以下の罰金を科す」としていましたが、これも「30万円以下の過料」に改めるとしています。

一方、特別措置法の改正案をめぐっては、営業時間の短縮などの命令に応じない事業者に対する過料について、
▽緊急事態宣言が出されている場合は50万円以下、
▽「まん延防止等重点措置」の場合は30万円以下としていたのを、それぞれ、30万円以下と、20万円以下に減額するとしています。

特別措置法などの改正案は、29日の衆議院本会議で審議入りし、菅総理大臣も出席して趣旨説明と質疑が行われる予定で、来週にも成立する見通しです。

岡田官房副長官「人権配慮し適切な対応図られるべき」

岡田官房副長官は、記者会見で「特別措置法などの改正案は与野党間で協議が行われ、今後、国会で審議してもらうものだ。政府としては、さまざまな意見や国会での議論の結果を尊重して対応していく」と述べました。

また、感染症法の改正案をめぐり、厚生労働省の感染症部会で、罰則に対し多くの反対や懸念の意見が出ていたと野党側が指摘していることについて「感染拡大を防止するためには入院措置は大変重要で、個人の人権に配慮しながら実効性を高めるための措置を講じる必要がある。自治体の協力要請に応じない場合があったことや、全国知事会が罰則の創設を求めたことなどを踏まえて、罰則を創設することとした」と述べました。

そのうえで「一部の関係団体から、罰則ではなく国民との信頼関係により検査や入院が行われるべきだとの指摘があることは承知している。実際の運用に際しては本人の人権に配慮した適切な対応が図られるべきだ」と述べました。

自民 森山国対委員長「修正は極めて残念」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「菅総理大臣には事前に伝え、修正について理解していただいた。おおかたの野党の理解をいただき、一定の合意点を見いだせたことはよかったが、与党の国会対策委員長としては 閣議決定されたものを修正しなければならなかったのは極めて残念なことだった」と述べました。

また、野党側が、29日の衆議院本会議に続き、改正案を審議する委員会にも菅総理大臣が出席するよう求めていることについて「委員会への出席はないと理解している。安住国会対策委員長からも強い要求があったが、無理だと断った」と述べました。

立民 安住国対委員長「一定の成果得られた」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「過料はゼロにはならないが、おおむね当初の半分ぐらいの額にまでに抑え込むことができたかなと思っている。決して100%を得られたわけではなく残念な部分はあるが、野党側としては一定の成果を得られたのではないか」と述べました。

共産 志位委員長「十分な審議時間必要」

共産党の志位委員長は、記者会見で「刑事罰を撤回するのは当然だが、共産党は、罰則については行政罰も含めて全面的に削除すべきという立場だ。罰則は、相互監視や分断、それに差別や偏見をもたらす。国民の私権制限に関わる問題で、日程ありきではなく十分な審議時間が必要だ」と述べました。