春闘 労使トップ会談 賃上げの必要性双方一致も方法には隔たり

ことしの春闘で経団連と連合のトップ会談が行われ、賃上げの必要性では一致しました。
しかし、2%程度の賃金引き上げを要求する連合と一律での賃上げには慎重な経団連の立場には隔たりがあり、来月から本格化する労使交渉は厳しいものとなりそうです。

この中で、病気療養中のため入院先からオンラインで参加した経団連の中西会長は「働きやすさを実感できる職場づくりが大事だ。日本の賃金水準が主要国の中で下位にあることに危機感を持っている」と述べました。
これに対して神津会長は「政労使で賃上げの流れを作ってきたが、まだ日本全体のものにはなっていない。デフレ脱却と経済の好循環の実現への取り組みは始まったばかりだ」と述べ、賃上げの必要性については一致しました。

ただ、新型コロナウイルスの影響で経済が打撃を受ける中、賃金引き上げの方法については労使の考え方に隔たりがあります。

連合が定期昇給分を確保したうえでベースアップに相当する分として2%程度の賃金引き上げを要求しているのに対して、経団連は業績が悪化している企業のベースアップは困難だとし一律の賃上げには慎重な姿勢を取っているからです。

このため来月中旬から本格化する労使交渉では、賃上げの水準や雇用の維持をめぐって厳しい交渉が行われることになりそうです。

連合 神津会長「大きな方向性は一致」

会談を終えたあと、連合の神津会長は「原資の確保のために相当な努力が必要だという話があったが賃金の引き上げについて大きな方向性としては一致しており、なんとかその流れを継続させたい。また、労働移動が安心してできるよう生活保障やスキルアップ、再就職のマッチングなど重層的な雇用のセーフティーネットが必要という点では双方前向きな意見が出たため今後も議論を進めていきたい」と話していました。

成果に応じて賃金を決める「ジョブ型」と呼ばれる制度については、経団連が検討も必要だとしていますが、神津会長は「この制度について考えていくと『この仕事についているかぎり賃金を上げることはできませんね』とそういう概念だと考えている。雇用社会が大きく変化し、悪い方向に変化することになりかねない。そういうことを含めて慎重に丁寧に考えていく必要がある」と述べました。