WHO 新型コロナワクチン 五輪選手への優先的な接種に懐疑的

開幕まで半年を切った東京オリンピックの開催に向け、選手に新型コロナウイルスのワクチンを優先的に接種する考えについて、WHO=世界保健機関は「現状では最もリスクが高い人にすら行き届いていない」と、懐疑的な見方を示しました。

これは、WHOの危機対応を統括するライアン氏が、25日の記者会見で述べました。

ライアン氏は、東京オリンピックに出場する選手にワクチンを優先的に接種すべきかという質問に対し、大会の開催を否定するものではないとしたうえで「現状では、ワクチンはリスクが最も高い人にすら行き届いていない」と答えました。

そして、医療従事者や高齢者などに最初に接種されるべきだとして、現時点で、選手に優先的に接種することについては、懐疑的な見方を示しました。

ワクチンをめぐって、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は、去年11月に来日した際「用意できる状況になれば、IOCが接種の費用を担う」と述べ、選手への接種に積極的に関与する姿勢を示したほか、今月初めにはIOC最古参のパウンド委員が、選手は接種を優先的に受けるべきだと発言しました。

また、フランスのAFP通信によりますと、フランスオリンピック委員会のマセグリア会長も25日、接種を受けていない選手は2週間の隔離や朝晩の検査が必要になり、非常に厳しい状況に置かれるという考えを示すなど、大会の開催に向けてはワクチンの接種がカギを握るという見方が広がっています。

IOCは、27日に開かれる理事会で、ワクチン接種の方針について話し合うということです。