新型コロナワクチン接種へ 自治体の準備進む 焦りの声も

新型コロナウイルスのワクチンの接種に向け、自治体の動きが加速しています。

新型コロナウイルスのワクチンについて、政府は早ければ来月下旬をめどに医療従事者に接種を開始し、その後、3月下旬をめどに65歳以上の高齢者に接種できる体制を確保する方針を示しています。

この方針を受けて、広島市は各地の市町村が担う高齢者への接種に向けて、職員8人からなる専任のチームを設置しました。

市内の対象者はおよそ30万人だということです。

専任チームは、個別接種や集団接種に向けた会場の確保や、医療機関との調整、それに接種の対象者の抽出と、クーポン券の発送の準備などを進めていくことにしています。
広島市の藤本豊記 保健予防担当課長は「ワクチンがいつ、どれぐらい入ってくるか、気がかりな部分はあるが、接種を希望する市民の皆さんが安心して円滑に接種できるよう取り組んでいきたい」と話していました。

自治体から焦りの声も

一方、準備を進める自治体からは焦りの声も聞かれています。

このうち、東京・目黒区では先月から、新型コロナウイルスのワクチン接種の準備にあたる専門の部署を設けて作業を進めています。

現在は、区民に配る予防接種のクーポン券について、区独自に作成する案内文書のレイアウトを検討したり、予約システムの構築に向けて委託する業者と打ち合わせを行ったりしています。

また、対象となる区民にワクチン接種を行う場所については、先週までに体育館など区の所有する3施設を確保したほか、5か所の医療機関とも調整を進めています。

一方で、ワクチンが供給されるスケジュールが明確になっていないため、接種場所をどのくらいの期間、確保すればいいかのか分からず、不安に感じているといいます。

目黒区新型コロナ予防接種課の吉田武広 課長は「体育館などは利用者がいるのでいつまで使用制限をかけるか、確定した情報がないと伝えられない。国にはこういった自治体の状況も踏まえて制度設計をしてほしい」と話しています。

こうしたなか、25日は、国による自治体向けのワクチン接種のオンライン説明会が非公開で開かれました。

説明は2時間ほど行われ、目黒区の担当者によりますと、今後必要となる作業やワクチン接種を円滑に進めるためのシステムなどの説明があったということですが、スケジュールについては全体像がはっきり分からなかったということです。

吉田課長は「いつまでに事業を終わらせないといけないかや、ワクチンがどこまでの期間で入ってくるのかが見えてきていないので、そういったところを国とよく協議しながら事業の設計にあたりたい。時間は十分にあるという状況ではないので、とにかく急いで進められるものはどんどん進めていく」と話していました。