救急車の消毒 対応できないケースも 消毒の依頼相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大で都からの要請を受けて、患者を搬送する救急車の消毒などを行っている業界団体への依頼が相次ぎ、救急車の消毒は今月はすでに先月1か月の件数を超え、対応できないケースも出てきていることが分かりました。

公益社団法人「東京都ペストコントロール協会」には都内の消毒会社など125社が加盟し、都や消防からの要請を受けて患者が療養するホテルや病院に搬送した救急車の消毒作業にあたっています。

このうち、消防からの要請を受けて行う救急車の消毒作業は、“第3波”といわれる感染拡大で急増し、先月は193件と去年10月の49件から4倍近くになり、今月は18日までに204件にのぼり、すでに先月1か月の件数を上回っていることが分かりました。

加盟する消毒会社には害虫駆除など本来の業務に加え、企業や学校での消毒の依頼も相次いでいて、救急車の消毒作業に対応できないケースも出てきているということです。

20日は、朝から夕方までに救急車の消毒の要請が17件あり、業者と調整したものの作業できたのは7件にとどまっていました。
「東京都ペストコントロール協会」の奥村龍一専務理事は「医療関係者の役に立てればと使命感を持って昼夜なく取り組んでいるが、想定を上回る要請が続き、出来ない状態に陥っている」と話していました。

業者「全部やりきるには限界もあり悩ましい」

協会に加盟する東京・練馬区の消毒会社では、協会を通じて要請される救急車などの消毒作業に加え、企業や学校から寄せられる依頼も増えているということです。

この会社では、去年2月に集団感染が判明したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から患者を搬送した車両の消毒作業にあたって以来、療養ホテルや、救急車の消毒を続けてきました。

先月は大みそかまで作業にあたり、去年9月の3倍近いおよそ130件の消毒作業を行っていて、20人ほどの作業員が1日に複数の場所を掛け持ちで行うことが常態化しているということです。
社長の清水一郎さんは「最近は規模の大きい会社や学校での消毒の依頼が増えていて、広い範囲で作業するとなると、それだけ多くの作業員を確保しなければならない。企業での作業は夜間に行うことが多く、日中は患者が療養するホテルの消毒にあたり、その合間に救急車の消毒要請が飛び込んでくるので、重複してしまい対応が難しいケースも出てきている」と厳しい現状について話しています。

そのうえで「油断すると感染してしまうリスクは常にあるので、その中で緊張状態で1日に何か所も作業にあたっている。なんとかしたいという使命感を持ってやっているが、全部やりきるには限界もあり悩ましく思っている」と話していました。