新型コロナ 自宅療養者が増加 本人や家族が気付かず症状悪化も

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、自宅で療養する人が増えるなか、本人や家族が気付かないうちに症状が悪化するケースも出ています。自宅療養を続けていた70代の女性が医師の診察を受けたところ、自覚症状はありませんでしたが、血液中の酸素濃度が低下していることがわかって急きょ入院することになり、診察した医師は「こうした危険な状態にいる人たちが自宅で療養せざるをえないことが医療提供体制の厳しい現状を表している」と話しています。

都内に住む40代の男性は2世帯住宅に70代の両親と40代の妻、それに小学生の息子と娘の合わせて6人で暮らしていて、今月、小学生の娘を除く5人の感染が次々に確認されました。

70代の父親は中等症で入院しましたが、男性と70代の母親、40代の妻、小学生の息子は自宅療養となりました。

このうち70代の母親は数日間、高熱が出て味覚や嗅覚がなくなる症状が出ましたが食事は取れていたということです。

今月16日にオンラインで行った取材では「できれば入院したいですが、医療がひっ迫していて大変だと聞いているので難しいとわかっています。主人は症状が急に悪化したのでこわいです」と話していました。

今月15日に在宅医療を行うクリニックの医師が訪問した際には、肺に大きな異常は見つかりませんでしたが、経過観察が必要だとして18日に改めて診察したところ、少し体を動かしただけで血液中の酸素濃度が88%まで低下し、危険な状態だとして急きょ入院することになったということです。

日本呼吸器学会のホームページによりますと、血液中の酸素濃度は、肺や心臓の病気で酸素を体内に取り込む力が落ちてくると下がり、一般的に96%から99%が標準値だということです。

90%以下は、十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態になっている可能性があるため適切な対応が必要とされています。

男性によりますと、入院した母親からは「症状が進んでいるので重症患者などに使われる新型コロナウイルスの治療薬『レムデシビル』を投与する」と連絡があったということです。

男性は「母親はふつうに、ごはんを食べられていたので軽症かと思っていました。容体が悪くなっているのは医学的な知識のない自分たちにはわかりませんでした。たまたま医師に診察してもらえて判明したので、ありがたかった」と話していました。

診察した医師は「自宅療養するには危険な状態だった。こうした人たちが自宅で療養せざるをえないことが、医療提供体制の厳しい現状を表していると思う」と話していました。