大手外食チェーンも“死活問題” 短期借入金 以前の4倍以上に

新型コロナウイルスの感染拡大以降、大手の外食チェーンが運転資金などのため金融機関から短期で借り入れている資金が、コロナの拡大前と比べて4倍以上に増えたとする調査結果を業界団体がまとめました。団体では、営業時間の短縮を求める今回の緊急事態宣言は大手チェーンにとっても死活問題だと訴えています。

大手外食チェーンなどでつくる日本フードサービス協会は先月、加盟企業59社の有価証券報告書などをもとに、銀行などからの借入金の額の変化を調べました。

それによりますと、返済期限が1年以内の短期の借入金は、コロナの影響が本格的に及ぶ前のおととし12月から去年3月の間に、各社が決算をまとめた時点では合計で784億円でしたが、その後、コロナの影響が反映された去年10月時点までの集計で3656億円と、4.6倍に増えていることが分かりました。

協会は借入金の多くは家賃や人件費などの運転資金に充てられたとみていますが、借金が膨らむとその後の資金調達が難しくなるおそれもあり、協会では各社の経営への影響を懸念しています。

また今回の緊急事態宣言で、東京では大手チェーンが時短要請に伴う協力金の対象となっていませんが、協会では、外食業界の家賃などの負担は限界に達しているとしていて、規模の大小にかかわらず大手も協力金の対象とするよう政府に求めています。

日本フードサービス協会の赤塚保正会長は「2回目の緊急事態宣言で企業の蓄えも枯渇してきており、大手でも経営が死活問題になっている」と話しています。

東京で協力金得られず営業続ける外食チェーンも

首都圏の1都3県で展開する外食チェーンの中には、時短営業の協力金が支給される神奈川県などでは休業や営業時間の短縮をする一方、東京都では協力金が得られず業績がさらに悪化してしまうとして午後8時以降も営業を続けざるをえないとする会社もあります。

1都3県で70店舗を展開する居酒屋チェーン「一家ダイニングプロジェクト」は、神奈川県などの店舗では午後8時までに営業を短縮したり休業したりする一方、都内の30店舗では午後8時以降も営業を続けています。

この会社では、神奈川県など3県では1店舗、1日当たり6万円が支給される一方、東京都では、時短営業の協力金の対象が資本金5000万円以下か、従業員50人以下の中小企業に限られ、この会社は条件に該当せず大企業とみなされるため協力金が受けられません。このためこのままでは業績がさらに悪化してしまうとして、東京では営業を続けざるをえないとしています。

会社では前回の緊急事態宣言の際に店を休業して売り上げがほぼゼロになり、その後の資金繰りのために金融機関から21億円を借り入れました。

宣言が解除されて以降、年末にかけて売り上げの回復を見込んでいましたが、感染が収束せず赤字が続いたままで2回目の緊急事態宣言に直面しました。そうした中、借り入れを増やそうとしても金融機関は融資に慎重な姿勢で、この会社では大手でも資金調達が難しい状況になっていると訴えています。

協力金の対象が中小企業に限られることについて東京都の担当者はNHKの取材に対し、「大企業は比較的資金力があり、金融機関との交渉などで資金調達もしやすいが中小企業や個人はより経営環境が厳しいため」としています。

この会社の武長太郎社長は、「中小企業より店舗数は多いかもしれないが大企業も同じように苦しい状況にある。従業員や取引先を守るためにも営業を続けざるをえない」と話しています。