「実効再生産数」 11都府県で「1」超続く 緊急事態宣言1週間

緊急事態宣言が出されてから15日で1週間になります。今週から新たに対象地域となった7府県を加えた11都府県について、NHKが感染状況を見る指標で、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」を専門家に監修を受けた簡易な方法で計算しました。11都府県すべてで感染が拡大に向かうことを示す「1」を上回っていて、拡大のペースが上がっている地域も見られます。

NHKは、疫学の専門家で国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長の監修を受けて、簡易な方法で、緊急事態宣言が出ている11都府県について、14日までのデータに基づいて、実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされていて、より正確に出すためには、発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、確認された日ごとの感染者の数をもとに簡易な手法で計算しています。

東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県

東京都の実効再生産数は
▼先月24日時点では1.10、
▼先月31日時点で1.24、
年が明けて緊急事態宣言が出された
▼今月7日時点で1.27、
▼14日の時点でも1.21と、
「1」を超えて拡大する傾向が見られます。

神奈川県では、
▼先月24日時点では1.22、
▼先月31日時点で1.25、
▼今月7日時点で1.11、
▼14日の時点では1.45と
緊急事態宣言が出されたあとでも大きく上昇しています。

埼玉県では、
▼先月24日時点では1.12、
▼先月31日時点で1.22、
▼今月7日時点で1.10、
▼14日の時点で1.25と、
緊急事態宣言が出されたあとでも上昇しています。

千葉県では、
▼先月24日時点では1.19、
▼先月31日時点で1.22、
▼今月7日時点で1.22、
▼14日の時点で1.42と、
緊急事態宣言が出されたあとでも上昇しています。

1都3県で見ても、
▼先月24日時点では1.14、
▼先月31日時点で1.24、
▼今月7日時点で1.20、
▼14日の時点で1.29と、
「1」を超えて拡大する傾向は止まっていません。

栃木県

新たに緊急事態宣言の対象となった栃木県では
▼先月24日時点では1.08だったのが、
▼先月31日時点で1.73に急激に上昇し、
▼今月7日時点で1.52、
▼14日の時点で1.20と、
感染は依然として拡大する傾向にあります。

愛知県 岐阜県

愛知県は
▼先月24日時点では1.00、
▼先月31日時点で1.12、
▼今月7日時点で1.05、
▼14日の時点で1.13と、
「1」を上回る状態が続いています。

岐阜県は
▼先月24日時点では1.05、
▼先月31日時点で1.33、
▼今月7日時点で1.17、
▼14日の時点で1.01と、
「1」を上回っています。

大阪府 京都府 兵庫県

大阪府は
▼先月24日時点で0.87、
▼先月31日時点では0.99と
「1」を下回って減少に向かう方向でしたが、年末年始を挟んで急激に感染者が増加し、
▼今月7日時点で1.26、
▼14日の時点で1.31と、
年明けから感染が拡大に転じています。

京都府は
▼先月24日時点では1.09、
▼先月31日時点で1.19、
▼今月7日時点で1.02、
▼14日の時点で1.22と、
「1」を下回らず、高い状態が続いています。

兵庫県は
▼先月24日時点では1.05、
▼先月31日時点で1.25、
▼今月7日時点で0.97と
一時的に「1」を下回りましたが、
▼14日の時点で1.33と、
上昇に転じ、再び拡大する傾向となっています。

関西の2府1県で見ると、
▼先月24日時点では0.95、
▼先月31日時点で1.09、
▼今月7日時点で1.12、
▼14日の時点で1.30と
年末以降、拡大傾向に転じています。

福岡県

福岡県は
▼先月24日時点では1.21、
▼先月31日時点で1.20、
▼今月7日時点で1.18、
▼14日の時点で1.28と、
多少の増減はみられるものの、先月以降、感染が拡大する状態が続いています。

全国

また、全国でも
▼先月24日時点では1.05、
▼先月31日時点で1.18、
▼今月7日時点で1.17、
▼14日の時点で1.27と、
感染が拡大する傾向が続いています。

感染症学会 理事長「外出機会減らすなど徹底対策を」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「一番感染者が多い東京で感染が拡大する傾向が続く中、その周辺の神奈川や千葉でも広がるなど、大都市部から周辺にしみ出すように感染が拡大している傾向が見て取れる。来週も同じ程度の人数の感染者が出るなど、傾向が変わらなければ、より広い範囲を対象により強い要請を伴った形で緊急事態宣言を出さざるを得なくなるだろう。感染状況を少しでも好転させるためには、会食を避けるのはもちろん、テレワークを進め、外出して人と会う機会を極力減らすなど、徹底した対策を取る必要がある」と話しています。