“病床数多く医師少ない” 患者受け入れ病床ひっ迫の背景は

日本の新型コロナウイルスの感染者数は欧米各国に比べて桁違いに少ない一方で、患者を受け入れる病床のひっ迫が問題になっています。背景の1つとして、日本は人口当たりの病床数はOECD=経済協力開発機構の加盟国の中で最も多い一方、医師の数は少なく、規模の小さい民間病院も多いことなどから、患者の受け入れを増やすことが難しいことが指摘されています。

OECDがまとめた最新のデータによりますと、おととしには1000人当たりの病床数は日本は13.0床で、37の加盟国の中で最も多くなっています。

次いで韓国が12.4床、ドイツが8.0床、フランスが5.9床、イタリアが3.1床、アメリカが2.9床、イギリスが2.5床などとなっていて、急性期の病床に限っても日本は7.8床で、加盟国の中で最も多くなっています。

また、病院の数は4年前のデータで、日本は8412か所と最も多く、100万人当たりで比べても66.4か所と、75.6か所の韓国に次いで多く、イギリスの2倍以上、アメリカの3倍以上と多くなっています。

病床や病院の数が多い一方で、医師の数はおととしのデータで1000人当たり2.5人と、32か国中27位で、ドイツの4.3人、フランスの3.4人、イギリスの3.0人、アメリカの2.6人と比べても少なくなっています。

病床がひっ迫する背景の1つとして、病床の数に比べて医師など医療スタッフの数が少ないことや、感染症対策の設備が整わない規模の小さな民間の病院が多いことなどが指摘されています。

全国およそ2500の民間病院などでつくる全日本病院協会の猪口雄二会長は「民間病院の中にはエレベーターが1か所しかないなど、新型コロナの患者と他の患者の移動する場所を分けられないところも多く、急に受け入れを増やすのは難しい。そうした病院でも、回復して感染のおそれがない患者を引き受けてもらい、新型コロナの医療対応に協力してもらうよう呼びかけている」と話しています。