コロナ患者 ICU治療長期化 診療報酬 特別加算されない例相次ぐ

新型コロナの重症患者をICU=集中治療室で治療した場合、病院に支払われる診療報酬の特別加算。原則14日間までしか支払われませんが、その期間中に患者がICUを出られず、加算されないケースが相次いでいることが分かりました。
病院では「経営への負担で、コロナ患者をみる病院が限られてしまう」として、実態に応じた見直しを求めています。

ICUで治療が必要な新型コロナの重症患者を受け入れた病院に対して、厚生労働省は「特定集中治療室管理料」として、1人の患者につき、原則14日間までは診療報酬を特別に加算しています。

しかし、大阪 吹田市にある大阪大学医学部附属病院では、先月末までに受け入れた重症患者48人の3割余りの15人が、加算の上限の日数を超えてICUでの治療が必要だったということです。平均の入院日数は、18日間だということです。

病院によりますと、特に高齢患者は陰性になっても体調が回復せず、そのままICUで治療を受けることが多いということです。

病院によりますと、仮に実際に入院していた日数分診療報酬が加算されたと計算した場合、追加で得られた報酬は合わせておよそ1億1000万円に上るということです。
大阪大学医学部附属病院の土岐祐一郎病院長は「長期化した分は病院の経営負担になり、そこに目を向けないと、コロナ患者をみる病院が限られてしまう。患者の特徴を理解して制度設計をしてほしい」として実態に応じた見直しを求めています。

最長141日間の入院も

大阪大学医学部附属病院によりますと、これまでで最も長くICUに滞在した新型コロナの患者の入院日数は、先月末の時点で141日間だということです。

この患者は60代で、持病があったことに加え、呼吸器の症状が改善せず、人工呼吸器を外すことができなかったため、陰性になっても、ICUでの治療が必要だったということです。

この患者は、人工心肺装置=ECMOを装着する治療を行ったため、加算の上限は特例で35日間でしたが、それ以降は、ICUで治療を行っても加算されませんでした。

病院によりますと、実際に支払われた診療報酬の特別加算は、およそ1500万円でしたが、仮にICUで治療した141日分が加算された場合、さらに、およそ3800万円を得られた計算になるということです。
これについて、厚生労働省は「一律に加算の上限日数を撤廃することには慎重な議論が必要だ。一方で、治療が長期化している現場の状況は認識しているので、実態にあった制度にするための検討は、していきたい」とコメントしています。