事故で設置 バス会社指導“適正化センター ”コロナで人員削減

長野県軽井沢町で15人が死亡したバス事故のあと、各地に設置されたバス会社を巡回指導する民間機関の半数余りが、新型コロナウイルスの影響で運営状況が悪化し指導員を削減するなどしたことがわかりました。専門家は「指導員を確保できないと巡回指導を減らさざるをえず、重大事故を防げなくなるおそれがある」と指摘しています。

5年前の平成28年1月15日に長野県軽井沢町で起きた大学生など15人が死亡したバス事故では、事故を起こしたバス会社で多くの法令違反が見つかりました。

これを受けて国土交通省は、民間機関の「貸切バス適正化センター」を全国10か所に設置し、来年度までに貸し切りバス事業を行っているすべての会社に年1度は巡回指導を行うことを目標に指導員の確保を進めてきました。

しかし新型コロナウイルスの影響で、このうち6か所で指導員を解雇するなど削減したり、新たな採用を見送ったりしていることがわかりました。

東北6県を管轄する適正化センターでは、今年度指導員7人のうち3人を削減し、新たな採用も見送ったということです。

各地の適正化センターは、バス会社の負担金で運営されていますが、新型コロナの影響で多くのバス会社の経営が悪化した結果、財源の確保が見通せなくなり人件費などを削減する必要に迫られています。

バスの安全対策に詳しい名古屋大学大学院の加藤博和教授は「指導員を確保できないと巡回指導も減らさざるを得なくなり、重大な事故を未然に防げなくなるおそれがある。センターを維持するためには、国による資金援助も必要になってくるのではないか」と指摘しています。