福島県いわき市では、魚の需要の落ち込みに苦しむ水産業者を支えようと、市が地元産のヒラメを買い取り小学校の給食に出しました。
このうち、大浦小学校では、給食にヒラメの切り身のから揚げが並びました。
児童たちは県の水産事務所の職員から地元で行われる漁の説明を聞きながら食べました。
「常磐もの」として知られる福島県産のヒラメは、原発事故のあと5年前に出荷制限が解除され、試験操業で水揚げされています。
いわき市によりますと、新型コロナウイルスの影響で飲食店向けの需要が減り、影響が出始める前のおととし11月と比べて価格は4割ほど落ち込んでいるということです。
このため市では地元の水産業者を支援しようと、市内の漁港で水揚げされるヒラメを買い取り、小中学校103校の給食で提供することになりました。
ヒラメを食べた小学5年生の女の子は「魚の味がしっかりあってとてもおいしかったです。これからも魚を捕ってくれる人たちに感謝しながらたくさん食べたいです」と話していました。
いわき市水産課の玉橋清孝総括主査は「水産業を支援することに加え、子どもたちにいわきの魚に親しんでもらうねらいもあります。子どもたちが笑顔で食べてくれてうれしいです」と話していました。
新型コロナ 食材価格にも影響 不安の中 子牛の初競り 福島
新型コロナウイルスの影響で外食需要が減少しコメの価格が下がるなど福島県産の食材の価格にも影響を与えています。こうした中、福島県本宮市の家畜市場で子牛の初競りが行われました。
本宮市にある福島県家畜市場では、13日、子牛の初競りが行われ、県内外から買い付けに来た肥育農家などが集まり、ことし1年の安全な取り引きを祈願しました。
福島県産の牛肉の価格は、原発事故のあと風評の影響などから全国より1割ほど低い水準になっています。
そこに新型コロナウイルスの感染拡大で外食需要が減少したことから、70万円台だった子牛の平均価格は、去年5月にはおよそ60万6000円まで落ち込みました。
その後、徐々に回復し、先月は贈答品や家庭向けの需要が高まり、およそ77万6000円まで回復しましたが、緊急事態宣言が再び出され、不安の中での初競りを迎えました。
家畜市場によりますと、13日の子牛1頭当たりの平均価格はおよそ75万9000円と例年並みでしたが、関係者からは1日も早い感染終息を願う声が聞かれました。
鮫川村の69歳の畜産農家は、「去年は牛を買ってもらえないのではという不安がありました。一日も早くコロナが終息して、外食などで牛肉を食べてもらいたいです」と話していました。