富山の交番襲撃事件 きょう初公判 遺族の思いは

3年前、富山市の交番が襲撃されて拳銃が奪われ、警察官と近くにいた警備員の合わせて2人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われている元自衛官の島津慧大被告(24)の裁判員裁判が14日からはじまります。
警備員の妻がNHKの取材に応じ、裁判を前にした思いを語りました。

3年前の6月、富山市の奥田交番で当時、警部補だった稲泉健一さん(46)がナイフで襲われて殺害され、さらに近くの小学校の校門前にいた警備員の中村信一(68)さんが奪われた拳銃で撃たれて殺害されました。

初公判を前に中村さんの50代の妻がNHKのインタビューに応じました。

休みには孫のサッカーの応援に行くなど、幸せだった夫との日々は突然、終わりを告げました。

妻は「いつも常にそばに感じながらいるのですが、でもやはりいないんです。もっと私の話を聞いてほしかったと思います」と夫への思いを語りました。

「夫がなぜ死ななければならなかったのか」を知りたいと、妻は被害者参加制度を利用して、思い出すのもつらい事件の書類の閲覧を重ねてきました。

被告に対し「殺したいほど憎い」、「死刑になってほしい」とばかり思ってきましたが、書類を読み進めると中学校時代、不登校となり、家族や友人との人間関係もうまくいかなかったその人生に目がとまりました。

妻は、憎しみを抱きつつも、なぜ事件が起きてしまったのか、止めることはできなかったのか、さらに知りたいと思うようになったと言い「決して彼を許しているわけではないです。被告がどうして犯罪を犯すに至ったのかという環境が、はたしてどうだったのだろうかと思います。何かきっかけがあればこんな事件を起こさなくてもよかったし、稲泉さんも主人も亡くならなくてもよかったのではないか」と話しました。

裁判では妻は、法廷に立ち、遺族として意見を述べる予定で、「私たちがここまでどれだけつらい思いをし、どんなに苦しい思いをしてきたかというのを分かってもらいたい。それが分からない以上、死んでもらっては(死刑になっては)困る。語るべきところはしっかり語ってほしい」と話しました。

裁判では、被告の刑事責任能力などが争点となる見通しで、ことし3月5日に判決が言い渡される予定です。