福島県産コメ 新型コロナ感染拡大で販売量減少 厳しい状況に

福島県で生産されるコメは、東京電力福島第一原発の事故以降、飲食店などで使われる業務用のコメが販売の主力となっていますが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食需要の低迷で販売量が減少するなど大きな影響を受けています。

福島県産のコメは、原発事故による風評の影響などで、飲食店や弁当など産地を明示しない業務用として使われる割合が65%と全国で最も高くなっています。

緊急事態宣言が出された首都圏などでは外食需要が落ち込んでいて、福島県などによりますと、去年11月末現在の福島県産のコメの在庫は22万1700トンと、全国で5番目に多くなっています。

需要の低迷を受けて取引価格も落ち込み、原発事故のあと全国平均を下回る状況が続いていましたが、中通り産コシヒカリは去年11月末時点で60キロ当たり1万3991円と前の年より1000円余り安くなっています。

福島県水田畑作課の久力幸課長は「新型コロナウイルスの影響で需要が著しく低下していて、コメの需給環境は大変厳しい状況だ。今後は飼料用米への転換だけでなく、関係機関や団体と連携をして稲作農家の所得確保に取り組んでいく」と話しています。

JAの倉庫には過剰在庫続く

福島県会津坂下町にあるJAの農業倉庫には、地元産のコシヒカリやひとめぼれが、出荷されずに在庫となって倉庫いっぱいに積まれています。

JA会津よつばによりますと、会津地方におよそ100ある農業倉庫は、同じように在庫をかかえている状況だということです。

新米が収穫され始めた去年の秋ごろには一時、コメの需要が回復傾向にあったということですが、緊急事態宣言が再び発令されたことでコメ余りが進み、価格がさらに下がることを懸念しています。

JA会津よつばの筒井秀米穀課長は「原発事故のあと風評被害で福島県産として売りにくくなり、業務用米を主力にしていただけに感染拡大の打撃は大きかった。首都圏などに緊急事態宣言が再び出された影響で、今後さらに需要が減るのではないかと危惧している」と話していました。