コロナ感染拡大で病床ひっ迫 救急患者の搬送困難事例も急増

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大して病床がひっ迫する中、急病の患者の受け入れ先がなかなか決まらないケースも急増していることが分かりました。

総務省消防庁が全国52の消防機関を対象に搬送が困難だった事例をまとめたところ、1月10日までの1週間で2707件と、およそ1か月で2倍近くに増え、調査を始めた去年4月以降で最も多くなりました。

総務省消防庁は、患者の搬送先が決まるまでに病院への照会が4回以上あったケースなどを「搬送が困難な事例」として、東京消防庁や全国の県庁所在地の消防本部など合わせて52の消防機関に毎週、報告を求めています。

1月4日から10日までの1週間では合わせて2707件と、調査を始めた4月以降、最も多くなったことが分かりました。

搬送が困難な事例は去年8月中旬以降減少を続けていましたが、11月ごろから増加傾向となり、12月上旬と比べると、2倍近くになっています。

また、前の年の同じ時期と比較すると88%多くなっていて、全国に緊急事態宣言が出されていた4月下旬の89%に次ぐ水準だということです。
一方、地域別では、
▽東京消防庁の管内が1384件で前の年の同じ時期と比べて747件増えたほか、
▽横浜市消防局が186件と102件増加、
▽川崎市消防局が51件で38件増加と3倍近くになっています。

また、新たに緊急事態宣言の対象となった地域では、
▽大阪市消防局が289件と109件増加、
▽名古屋市消防局が57件と41件増加しています。

総務省消防庁は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で病床がひっ迫していることが背景にあるとして、厚生労働省や都道府県と情報を共有し、受け入れ体制の調整などを要請しているということです。