尾身会長「時短だけでは下火にできず 昼夜問わず外出控えて」

13日夜、菅総理大臣の記者会見に同席した諮問委員会の尾身茂会長は、緊急事態宣言のもとでの飲食店の営業時間の短縮などについて「これまでの経験で、飲食店の時短営業は万能薬ではないものの一定の効果があるのは分かっていた。しかし、今回、緊急事態宣言の対象となったような地域では、時短営業だけでは感染を下火にはできないと思う。外出の自粛や人の移動制限、テレワークの推進、イベントの入場制限など総合的な対策が必要だ。また、こうした対策で重要なのは効果が出たかどうかを頻繁に評価していくことだ。その中で仮に最悪の事態になりそうな場合は休業要請などより強い選択肢もありえるし、うまくいっていればまた別のシナリオにということもある」と述べました。

また、尾身会長は緊急事態宣言期間中の国民の協力について「自粛疲れということで、去年ぐらいから感染対策についてなかなか協力が得られなくなってきていた。理由としては、感染しても無症状や軽症の人が多いこと、長く続く自粛でへきえき感が出てきていたこと、いっとき、国と自治体の一体感がなかったことなどがあったと思う。国民の行動変容ということでは大事なことはいろいろあるが、いま最もやるべきことは昼夜を問わず、外出をなるべく控えてもらうということだ」と述べました。

感染症法などの改正で、罰則の導入が検討されていることについて尾身会長は「分科会のメンバーの中でも罰則よりも事業者などにさらに協力してもらえるような支援の仕組みを作った方がいいという意見と最低限の罰則も場合によってはやむを得ないという意見の両方がある。一方、専門家として1年近く感染症対策に直接関わってきた立場からは、法律の改正で、こういう部分を改善してもらえるとより感染対策が進んだと考えている部分がある。例えば、対策をとる上で、最も重要なことのひとつは疫学の情報を自治体間や国との間で迅速に共有することだが、さまざまな理由で我々が望むレベルに到達していなかった。国会で法改正を議論する際には、罰則のことだけでなく、どういった制度的な障壁によって感染対策が進まなかったのかということも含めてしっかりと議論をしてほしい」と述べました。