緊急事態宣言 成人式 都内の自治体で新たに中止や延期

1都3県に緊急事態宣言が出されたことを受けて、都内では、成人式を従来どおり開催するとしていた複数の自治体が、新たに中止や延期を決めたことが分かりました。

新型コロナウイルスの感染拡大で首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出されたことを受けて、東京都は、成人式についてオンラインでの開催や延期をするよう協力を求めています。

NHKが8日午後3時時点の都内の区と市の成人式の開催状況を取りまとめたところ、これまで従来どおり開催するとしていた、
▼新宿区が中止を決めたほか、
▼渋谷区と中野区が延期することを決めたことが分かりました。

また、
▼豊島区と
▼品川区は、
オンラインでの開催に変更するということです。

一方、
▼杉並区、
▼江戸川区、
▼昭島市、
▼国立市、
▼武蔵村山市、
▼稲城市、
▼福生市の、
7つの区と市は、感染対策を行ったうえで、予定どおり会場に新成人を集めて成人式の式典を開催する予定です。

このうち杉並区では、式の回数をこれまでの倍の1日4回に増やして、1回当たりの参加者を減らす対策をとったうえで、時間も短縮して行うということです。

NHKのまとめでは、都内の49の区と市のうち、42の区と市が従来のような新成人を会場に集めて行う成人式の中止を決めています。

オンライン配信のみの開催に変更

大田区は、今月11日の成人式を、従来どおり新成人を会場に集める方法と、オンラインでの配信する方法の2つの方法で開催しようと、去年5月から運営委員の新成人らとともに準備を進めてきました。

しかし、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大を受け、オンラインのみでの開催に変更し、代わりに成人式にちなんだスマートフォン用のオリジナルのフォトフレームを配信することを決め、8日職員らがその準備に追われていました。
大田区では、成人式の当日、区長のあいさつや書道パフォーマンスなど、事前に収録した動画をインターネットで配信するほか、健康診断など新成人に伝えたい情報をホームページにまとめて公開することにしています。

大田区地域力推進部の佐藤邦子課長は「成人式を待ち望んでいた新成人の方は多いと思いますが、会場での開催中止は、命を守るための苦渋の決断です。オンラインのコンテンツは運営に関わる新成人たちが時間をかけて準備したものなので、楽しみにしてほしい」と話しています。

着物店 問い合わせ対応に追われる

新成人向けに振り袖などの販売やレンタルを行っている着物店は、客からの問い合わせへの対応に追われています。

世田谷区の着物店は、世田谷区や大田区など、従来のような会場に新成人を集めて行う成人式を中止した地域の客を多く抱えていて、中止の決定が相次いで以降、店には毎日のように電話で客から問い合わせがあるということです。

この店によりますと、これまでに式の当日に着付けを予約した客の1割程度がキャンセルをした一方で、客の大半は式が中止になっても、予定どおり着付けを行って振り袖姿で成人の日を過ごしたいと希望しているということです。

8日も、緊急事態宣言を受けて成人式が急きょ中止になったという客から「着付けの時間を変更したい」といった電話があり、スタッフが対応に追われていました。

着物店の吉川祐樹店長は「緊急事態宣言を受けて、成人式が中止になっていない場所のお客様からも『着付けはちゃんとしてもらえるか』という問い合わせがあります。初めてのことでとまどいもありますが、一番悲しい思いをしているのは新成人のお客様なので、最大限のことをしたいと思います」と話していました。

晴れ着姿 屋外での写真撮影の依頼急増

成人式の中止やオンライン開催への変更が相次ぐ中、晴れ着姿を記念に残そうと、屋外での写真撮影の依頼が急増しています。

出張撮影を行っている東京 渋谷区の会社では、オンラインで記念撮影を受け付けていて、日程や場所のほか、カメラマンも全国のおよそ500人の中から選ぶことができます。

この会社では、主にお宮参りや七五三といった家族写真を取り扱っていましたが、緊急事態宣言に関するニュースが出るようになってから、新成人からの申し込みが急増しているということです。

7日の時点で去年の3倍を超える277件の依頼があり、そのおよそ半数が緊急事態宣言の対象となっている1都3県からの依頼だということです。

また、申し込みには「式が中止になり落ち込みましたが、中学校の同級生と晴れ着姿を記念に残したいです」とか「オンラインでの開催となり、全員で集まれなくなりましたが、小学校の頃からの親友と通学路で写真を撮り、思い出を残したいです」といったメッセージが添えられているものもあるということです。
撮影は3密を避けるため屋外で行うということで、出張撮影の会社「ラブグラフ」の本間達也取締役は「新成人にとっては今しかないので、写真を通じて1人でも多くの楽しい思い出を残せるよう、お手伝いしたい」と話していました。