ANA “緊急事態宣言で需要減 東京発着路線を中心に減便 検討”

航空大手「ANAホールディングス」の片野坂真哉社長は5日、NHKのインタビューに応じ、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出た場合、需要の変化に合わせて東京を発着する路線を中心に減便を検討する考えを明らかにしました。

この中でANAの片野坂社長は「航空は、経済活動のインフラとして重要だが、緊急事態宣言によって需要がかなり減る場合は、赤字を出すわけにはいかず、減便や運休をしなければいけない。東京を発着する便に影響が出るとみられるので、それに合わせてこれから調整をしていく」と述べました。

そのうえで「何度も対策を繰り返すのではなく、ここは徹底して、感染を抑えることが大事だ。年末年始は、Go Toトラベルの全国一律の停止で、国内線の利用者数が前の年の半分以下だったが、去年の秋口からは回復のトレンドだった。この1か月くらいで結果を出すことができれば、回復基調は続くと期待している」と述べました。

ANAは今年度、過去最大の5100億円の最終赤字となる見込みで、経営の立て直しについて、片野坂社長は「航空会社は人件費や整備費などの固定費が大きい。今年度は1500億円、来年度は2500億円のコスト削減を行う。今後の需要の回復は読みにくいが、コストを下げることで利益を出せる体質にし、来年度の黒字化の必達を目指す」と述べました。

社員の雇用については「外部への出向や長期の休暇制度の拡充、外注していた空港サービスの内製化など、さまざまな方法で雇用を守っていきたい」と述べました。

また、国際線の事業について、日本航空との統合を検討すべきだという指摘があることについては「両社ともに余剰人員を抱えていて、いま、統合をすれば、余剰はもっと膨らんでしまう。自力で生き残っていくのが最大の目標であり、統合という考え方には、賛同できない」と述べ、単独での事業の再建を目指す考えを強調しました。