緊急事態宣言の発出を7日に決定の方針 1都3県対象 菅首相

新型コロナウイルス対策で、政府は、首都圏の1都3県を対象に7日、緊急事態宣言を出すことを決める方針です。経済への影響を最小限に抑えたいとして、限定的な措置を講じることにしており、実効性の確保に向けて、知事が法律に基づいて使用制限を「要請」できる対象に飲食店を加えるため、政令の改正を検討しています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、菅総理大臣は、5日開かれた自民党の役員会で「国民が、政府・与党にいちばん望んでいることは安心・希望だ。最優先はコロナ対策で、しっかり頑張ってまいりたい」と述べました。

そのうえで、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、特別措置法に基づく緊急事態宣言を出すことをあさって、決める方針を明らかにしました。

1都3県は、今月8日から31日まで、営業時間短縮の要請を午後8時までに前倒し、12日からは、すべての飲食店に対象を広げることにしています。

今回の緊急事態宣言について、政府は、期間を1か月程度とする方向で調整しており、経済への影響を最小限に抑えたいとして、飲食の場での感染リスクの軽減策など、限定的な措置を講じる方針です。

そして、実効性の確保に向けて、宣言に伴って、知事が特別措置法の45条に基づく施設の使用制限を「要請」できる対象に飲食店を加えるため、政令を改正することや、営業時間短縮の要請に応じた飲食店への協力金の拡充などを検討しています。

政令が改正されれば、要請した飲食店の事業者名などを公表できるようになります。

政府は、具体的な措置の内容に加え、宣言を解除する基準などについても検討を進めており、7日、感染症の専門家などでつくる「諮問委員会」に意見を求めたうえで、菅総理大臣が、政府の対策本部で宣言することにしています。

一方、国会では、衆参両院の議院運営委員会で宣言に関する質疑が行われる見通しです。

そして、菅総理大臣は、一連の手続きのあと、総理大臣官邸で記者会見を行う方向で調整しており、宣言を出す理由などを説明し、国民に理解と協力を呼びかけるものとみられます。

自民 二階幹事長「事態見極めたうえでの適切な判断」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「事態を見極めたうえでの適切な判断だ。特に医療体制を守る意味で、緊急事態宣言の重要性は誰もが承知していることであり、しっかりと万全の態勢で臨んでいきたい」と述べました。

また、二階氏は、ワクチンの接種が始まった場合、みずからも接種するか問われたのに対し「愚問とは言わないが、当たり前のことだ」と述べました。

“保育所は原則 継続開所で検討” 厚労省

今回の緊急事態宣言が出たら、保育所はどうなるのか。

厚生労働省は原則として継続して開くよう求める方向で検討しています。

前回、去年4月の緊急事態宣言が出た際、対象地域の保育所では受け入れ規模の縮小が求められ、多くの保護者が登園の自粛を要請されました。

今回も受け入れ規模の縮小を求めるかどうかについて、厚生労働省は宣言の詳しい内容を踏まえて決めることにしています。

ただ、前回に比べると宣言の内容は限定的になるとみられ、関係者によりますと、現時点で厚生労働省として規模縮小を求める可能性は低いということです。

厚生労働省は、緊急事態宣言の内容が明らかになり次第、速やかに具体的な方針を示すことにしています。

官房長官「7日の諮問委員会で方向性を」

加藤官房長官は、記者会見で「感染拡大を防ぎ、国民の命と暮らしを守るため、あさっての諮問委員会で方向性を出していただくことを念頭に検討が進められている。講ずべき措置の具体的な地域や内容、時期などと合わせ、宣言の解除の基準などについても政府内で検討したうえで、諮問委員会で議論いただくことになる」と述べました。

そのうえで「首都圏の1都3県の知事とも連携する中で営業時間の短縮も行っていくが、実効あらしめるような形も求められており、緊急事態宣言を検討している。地方自治体と国が連携して、いちばん効果的な対応をどうすべきなのかという観点から議論している」と述べました。

一方、加藤官房長官は「緊急事態宣言の発出は、国民生活にも大変大きな影響を与える大変重たい判断だ。感染状況を踏まえ判断せざるをえないということについて、国民の皆さんに、ご理解とご協力をいただきたい。国民生活や事業者に与える影響への対応も、しっかり検討していきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「守られているか調査し指導 重要」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「都道府県知事をはじめ自治体は、営業時間の短縮を要請するだけでなく、本当に要請が守られているかを調査し、指導していくことが極めて重要だ。また、宣言によって感染拡大を抑えている間に、病床や軽症者向けのホテルの確保をしっかりやってもらいたい」と述べました。

また、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正について、世耕氏は「給付金などの支援とセットが前提だが、罰則を設けることは極めて重要だ。一定の強制力を持った措置がなければ法改正をする意味がない」と述べました。

立民 枝野代表「医療崩壊地域も対象にするべき」

立憲民主党の枝野代表は、記者会見で「1都3県に限定するとされているが、感染者の数が高止まりしている地域はほかにも少なくない。昨年の緊急事態宣言も、なし崩し的に全国に広げざるを得なかった経験を私たちはしている。『一気に全国に』とは思わないが、大阪をはじめ、医療が崩壊状況にある地域も対象にするべきではないか」と述べました。

また、枝野氏は、新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正について「与党には対決法案にするのではなく、実質的な議論の機会を十分に確保し、円満に進めることを強く求めたい。改正案では、とにかく補償を十分に行うことが何よりも重要なポイントだ」と述べました。