“大都市からしみ出す”1都3県 同じタイミングで感染者増加

新型コロナウイルスの感染が確認された人の数は、東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県で全国の感染者のおよそ半数を占めています。1都3県は生活圏が重なり、通勤や通学、レジャーなどで互いに行き来があることもあり、先月初めからは東京都と隣接する3県で、ほぼ同様のタイミングで感染者数が増加しています。

東京都 1か月間で約3.6倍

東京都の感染者数は、
▼先月1日の時点で370人でしたが、
▼19日に736人と3週間ほどで、
ほぼ2倍になりました。

その後、
▼26日にはおよそ2.6倍の949人に、
▼31日は、これまでで最も多い1337人と、
1か月間でおよそ3.6倍になりました。

神奈川 1か月間に約3.7倍

神奈川県も東京都と同様の増加傾向が見られます。

▼先月1日の時点では158人でしたが、
▼2週間余りたった17日に319人と倍増し、
▼24日に495人と3倍を超えたあと、
▼31日は過去最多の588人と
1か月間におよそ3.7倍になりました。

埼玉県・千葉県 増加ペースやや速く

一方、埼玉県と千葉県は先月初めの段階での感染者数は東京都や神奈川県より少なかったものの、増加のペースはやや速くなっています。

埼玉県の感染者数は、
▼先月1日の時点で103人でしたが、
▼12日には199人と、
2週間足らずでほぼ2倍になり、
▼25日には298人でほぼ3倍に、
▼31日には過去最多の330人と、
およそ3.2倍になりました。
また、千葉県の感染者数は、
▼先月1日の時点では74人でしたが、
▼10日には150人と倍増し、
▼24日に234人と3倍を超えたあと、
▼31日には過去最多の252人で、
およそ3.4倍となりました。

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は、東京などの大都市部から周辺にしみ出すように感染が広がっているとして、大都市での感染を抑えなければ、地方での感染を抑えることは困難だとしています。

陽性率 検査数増の中で上昇

一方、PCR検査などを受けた人が陽性と判定される割合、「陽性率」をみますと、
▽東京都は先月1日には6.4%だったのが、30日には10.2%に、
▽神奈川県は先月1日に6.0%だったのが、27日には12.0%にまで上昇しています。

また、
▽埼玉県は先月1日の5.7%から31日には9.2%に、
▽千葉県は先月1日の5.1%から31日には10.1%と上昇しています。

いずれの地域でも検査の数が増える中で陽性率は上がっていて、市中で感染が広がっていることを示しています。

専門家「東京中心に強い対策を」

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「東京都に加え、隣接する3県でも感染者が同調するように増加していて、データからは、人の往来が多く生活圏が重なる地域では、感染が拡大する傾向にあるという新型コロナウイルスの特徴が見られる。感染は市中に広がり続けていると考えられ、東京を中心とした地域に対し、強い対策を行う必要がある」と話しています。