中国 国産の新型コロナワクチン 初の承認 国有製薬会社が開発

中国政府は、国内の製薬会社が開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、安全性や有効性の基準に達したなどとして、承認したと発表しました。中国政府が新型コロナウイルスのワクチンを承認したのは、これが初めてです。

中国の国家薬品監督管理局の陳時飛副局長は、31日の記者会見で、国有の製薬会社、シノファームが開発したワクチンについて、臨床試験の結果が安全性や有効性の基準に達したなどとして、30日付けで承認したと発表しました。

今回の承認は、臨床試験を続けて、そこで得られた情報を当局に報告することなどが条件となっていて、中国政府が新型コロナウイルスのワクチンを承認したのはこれが初めてです。

ワクチンは、シノファーム傘下の北京の研究所が開発した「不活化ワクチン」と呼ばれるもので、会社は、臨床試験の中間段階の分析の結果、有効性は79.34%に達し、WHO=世界保健機関などの基準を満たしているとしています。

一方、WHOが公開している、世界で臨床試験中のワクチンに関する情報によりますと、今回承認されたワクチンは、欧米ですでに使用が認められたほかのワクチンと同じく筋肉に注射するタイプで、1回目の3週間後に2回目を接種するとされています。

中国政府は、これを含む国内で開発された3種類のワクチンを、緊急措置としてことし7月以降、国内の医療従事者や交通機関のスタッフなどに接種しています。

会見で保健当局の幹部は、これまでに合わせて450万回分を接種したものの「軽度の発熱は0.1%に満たない。アレルギー反応など比較的重い副反応の発生率は100万分の2だ」と述べ、目立った問題は起きていないという認識を示しましたが、個別のワクチンに関する情報は明らかにしませんでした。

中国政府は、今後、接種の対象を高齢者などリスクの高い人にも拡大するなどして、多くの人が免疫を獲得することで感染が広がりにくくなる「集団免疫」の状態を目指すとしています。