コロナ重症者治療の医師「病床はほぼ満床 年末年始は静かに」

新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関では厳しい状況が続いています。重症者を受け入れている国立国際医療研究センターでは、重症者用の病床が満床の状態が続いているということで、治療に当たる医師は、これ以上、感染を広げないためにも年末年始は静かに過ごしてほしいと呼びかけています。

東京 新宿区にある国立国際医療研究センターの忽那賢志医師によりますと、軽症や中等症用の病床はまだ余裕があるものの、重症者用の病床は2週間ほど前からほぼ満床の状態が続いていて、ほかの医療機関から転院の依頼があっても受け入れができないことも多くなっているということです。

忽那医師は「転院してくる患者さんは重症の方が多く、今月に入ってからは複数の医療機関で断られてうちの病院に依頼が来るケースも少なくない。東京都内やその周辺では重症患者に対応できなくなっている」と話しています。

国立国際医療研究センターでは年末年始は通常の当直体制よりも医師を2倍に増やすなど体制を強化するということですが、通常診療よりは人手が少なくなるということで、忽那医師は「このまま感染が拡大すると十分に対応できるのか懸念がある。年明けにさらに感染が広がると、医療現場は窮地に立たされるため、年末年始の帰省や忘年会、新年会はオンラインでするなど外出を控えて静かに過ごしてほしい」と呼びかけています。

「変異ウイルスに警戒必要」

イギリスで広がっている変異したウイルスが国内でも見つかっていることについて、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「日本国内では10人に1人の割合でウイルスの遺伝子配列を確認して監視している。現時点ではイギリスとの渡航や滞在歴が明らかな人たちだけで見つかっているため、国内で感染が広がっている可能性は低い」と話しています。

そのうえで、忽那医師は「従来のウイルスより重症化しやすいのかやワクチンが効くのか、子どもなど若年層で広がりやすいのかなどまだ分からないことが多いが、少なくともこれまでより1.7倍も感染が広がりやすいことは分かっている。国内に入ってくるとより多くの人が感染して確実に重症者、死者は増えると予想される。今よりさらに医療現場のひっ迫を引き起こしかねないため、検疫などの水際対策を徹底し、国内のウイルスの監視を強化するなど、常に警戒する必要がある」と話していました。