コロナ変異ウイルス 症状は? 予防法は? 専門家の見解

イギリスでは変異した新型コロナウイルスの感染が拡大し、WHO=世界保健機関によりますと、24日現在でデンマークやオランダなどでも確認されています。
変異ウイルスはどうやって見つかった?症状は?予防法は?
WHOが23日に行った、専門家とのオンライン会見のポイントをまとめました。

変異ウイルスはどうやって見つかった?

写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏
私たち「イギリス 新型コロナウイルス感染症 ゲノム コンソーシアム」は、新型コロナウイルスの変異などを監視していて、検査のために採取された検体に含まれるウイルスの遺伝情報の配列を調べています。

私たちは、世界で共有されている新型コロナウイルスの配列のデータベースの半数余りにあたる、15万件ほどの解析を行ってきました。

これはイギリス国内の感染者全体の7~8%にあたる量です。

多くは全国から無作為に集められ、私たちは1日単位、1週間単位で、イギリスのどの地域で、どのようなウイルスの変異が起きているか監視しています。

そうした中、問題となっているある特定の変異ウイルスが、イングランドの南東部とロンドンで極めて急速に拡大していることがわかってきました。

以前からある新型コロナウイルスよりもとても早いスピードで感染が広がるので、国内だけでなく、国際的にも関心を集めるようになりました。

予防措置はどう取る?

写真・WHOで検査担当フランク・コーニングス氏
大切なことは、ウイルスに変異はあるものの、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)であることに変わりはなく、これまでの対策は有効で、実施し続けるべきだということです。

この1年間に皆さんがやってきたこと、検査、隔離、治療、追跡、手を清潔に保つことや人と人とが距離を取ること、室内の換気をよくすること、特に今、休暇期間に家族で集まるときには窓を開けて、新鮮な空気を取り込むことがとても大切です。

必要な時にはマスクをつけることももちろん大切です。

このような対策を取り始めてもう何か月もたち、まもなく1年になろうとしますし、簡単ではないのはわかっています。

しかし、特に休暇期間にはこうした対策を続ける必要があるんです。

みんなで一緒にやる必要があります。

一般的に言えば、変異したウイルスにもこれまでと同じ検査方法が使えます。

一部の検査方法はもはや使えないという情報もありますが、そうした検査にはウイルスを検知するためのいくつかのバックアップ用の仕組みがあります。

抗原検査や短時間で診断するための検査も変異ウイルスに有効です。

これまでの新型コロナウイルスとの症状の違いは?

ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏
今のところ、すでに感染が世界に広がっている新型コロナウイルスと比べ、症状に違いはありません。

症状が違うという科学的な証拠はないんです。

今、詳細な質のよいデータを集めているところで、少し時間がかかります。

ワクチンの効果に影響は?

ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏
いいえ。

ワクチンの接種計画は、すでに予定されていたとおり実施されています。

変更する予定はありません。

免疫学的にみて、変異ウイルスが異なる振るまいをしているという証拠はありません。

ですので、ワクチンは問題なく機能すると思います。

イギリスではすでにワクチンの接種を始めたので、注意深く状況を見ていますが、今のところ、問題があるという兆候はなく、従来のウイルスと異なる振るまいをしているということもありません。

何も心配することはなく、ワクチンの接種はうまくいくと思っています。

子どものほうが感染しやすいのか?

ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏
そういうデータは見ていません。

子どものほうが感染しやすいのではないかといううわさがありますね。

ただ、どういうデータに基づいてそう言われているのかわかりません。

子どもたちは学校に行きますので、そこで感染することはあります。

しかしそれは、人とのかかわりが増えたから感染しやすくなったというだけで、ウイルスの感染力とは関係がありません。

より慎重な、疫学的な調査が必要であり、それはすでにイギリスで始められていることです。

ウイルスの変異はどのように起きるのか?

写真・WHOで検査担当フランク・コーニングス氏
はい。

とても大切な質問ですね。

変異というと、非常に恐ろしく、パニックを起こしがちです。

でも実際にはウイルスが変異することはとても普通のことです。

ウイルスは自己複製します。

つまり、みずからのコピーを作るんです。

そこでいつも少し変異が起きます。

コピーの作り方はとても雑で、その過程でエラーが起きるんです。

皆さんが字を書くときに「書き間違い」をするような感じです。

それがウイルスの世界では変異(mutation)と呼ばれ、変異したウイルスは変異株(variant)と呼ばれるんです。

ほとんどの場合、これらの変異は、感染力などに影響はありませんが、時折、科学者のことばで言うと、元のウイルスよりも環境に適したウイルスになります。

その場合、特定の環境でより支配的なウイルスになってしまいます。

変異ウイルスについてわかっていることは?

写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏
より速いスピードで感染するようにみえます。
確実ではありませんが、各地で確認された変異ウイルスの感染のスピードはとても速いです。

より重症化しやすいのかというと、今のところ、その根拠はありません。
今後数週間かけてデータを集め、根拠を示さなければいけません。

ワクチンの効果への影響、これはさきほどブルーアー氏が説明しましたね。

どう備えればいいのか?

写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏
マスクの使用や人との間に距離を取ること、長時間室内で人と集まるのを避けること。

これは、イギリスだけでなく、全世界の誰に対しても言えることです。

1つ言えるのは、イギリスではこれだけ、変異ウイルスが見つかっているわけですから、ほかの国でもすでに広がっていることは十分にありうるでしょう。

過去数日間にいくつかの例が確認されましたが、今後さらに確認される国は増えるでしょう。

ですので理想的には、世界中のすべての人が、この12か月間実施してきた対策を続けることです。

今後数週間、数か月間で、より詳細なデータが明らかになり、この変異ウイルスに対してより詳しい答えができるでしょう。