新型コロナ 年末年始の対策や特措法の改正など議論 政府分科会

新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会が開かれ、年末年始などの対策や、特別措置法の改正の論点などをめぐり、意見が交わされました。西村経済再生担当大臣は年末年始を静かに過ごすようお願いしたいと呼びかけました。

分科会の会合は、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席して、23日午後、およそ3時間開かれました。

この中で、西村大臣は、大都市圏の感染拡大が波及し、地方でも感染拡大の動きが続いており、入院患者や重症者の増加で、医療提供体制がひっ迫する中、通常医療との両立が困難な状況にもなってきていると指摘しました。

そして、22日、経済界や労働界に対し、年末年始の忘年会や新年会を見送り、帰省についても慎重な対応を要請したことを説明しました。

そのうえで「特に若い世代も含め、今から静かな年末年始を過ごすことをお願いしたい。人と人との接触を減少させなければいけない水準になっており、知事と連携を強めて、対策を強化していきたい」と述べ、休暇や初詣の分散のほか、テレワークの推進などを重ねて呼びかけました。
一方、田村大臣は「全国的に感染が拡大しているが、特に東京をはじめとする首都圏では、早急に対策の強化が求められる。さらなる気温の低下による感染の拡大も想定しておく必要がある。最前線で対応する医療機関や医療従事者をしっかりと支援し、医療提供体制の維持、確保に全力で取り組んでいく」と述べました。

分科会では、
▽年末年始を含めた今後の対策や、
▽新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正の論点、
それに
▽ワクチンの優先接種の対象などをめぐり意見が交わされました。

西村経済再生相「特措法の改正 おおむね理解」

西村経済再生担当大臣は、分科会のあと、記者会見し、新型コロナウイルス対策の特別措置法について「私が考えていることなどを申し上げ、改正の必要性について、おおむね理解を得られたと思う。『実効性をどういう形で上げていくか』とか、『必要最小限の措置という基本的人権の尊重の枠組みは維持してほしい』といった意見があった。次の通常国会に法案を提出することも念頭に分科会を含めて議論していただき、政府として迅速に検討を進めたい」と述べました。

また西村経済再生担当大臣は、記者会見で「飲食店などへの営業時間の短縮要請を行っているが、なかなか歓楽街の人出が減らず、陽性者の数が増えている。尾身会長から『人出が減ることによって、減少傾向に転ずることができるのではないか』という説明があった」と述べました。

そのうえで「首都圏や東京を中心とした、感染が拡大している地域では、基本的には、忘年会や新年会はやめてくださいということだ。帰省も、延期も含めて慎重に検討することを皆さんにお願いしたい。また、イルミネーションの早めの消灯のほか、カウントダウンなどのイベントもオンラインなどを活用してほしい」と呼びかけました。

さらに西村経済再生担当大臣は、サッカーやラグビーなど、数万人規模のイベントで、収容人数の半分までとしている開催制限について、東京を中心に感染が拡大している地域では、一時的に5000人を上限とすることを明らかにしました。

そのうえで「イベントで感染が広がっているわけではないが、関係省庁を通じて、改めて感染防止策の徹底を求めたい。もはや、人と人との接触を減らさなくてはならない時にきているので、できるかぎり減らす取り組みをお願いしたい」と述べました。

日本医師会 釜萢常任理事「東京も営業時間短縮を」

日本医師会の釜萢敏常任理事は記者団に対し「東京で感染拡大が抑えられていない背景は、人の流れを減らせなかったことだ。さらに踏み込んだ営業時間の短縮というのが、東京都に、直近で取り組んでもらいたい施策だ」と述べました。

日本医療法人協会 太田副会長「水際対策しっかり」

日本医療法人協会の太田圭洋副会長は、記者団に対し「感染者だけでなく、普通の患者の命も救えない状況になりつつある。医療が崩壊すれば、恐ろしいことが起きてしまうので、国民には真剣に受け止めてほしい。年末年始は医療提供体制が弱くなるため、感染拡大防止に本腰を入れないといけない」と述べました。

一方、イギリスで感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスが広がっていることについて「今まの医療の状況で、感染力の強い変異株が入ってくれば、とても対応できない。水際対策をしっかりやってほしい」と述べました。

鳥取県 平井知事「東京 蛇口が開けっ放しの状態」

鳥取県の平井知事は、記者団に対し「クラスターのような感染が起きた場合、いったんは営業を止めてもらいたいが、法的な根拠がない単なるお願いではなかなか聞いてもらえない実情がある。休業に対する補償や罰則などの担保が必要であり、特別措置法の改正の必要性を訴えさせてもらった」と述べました。

また、感染状況をめぐって「いまは東京で蛇口が開けっ放しの状態で、そこから全国へと水浸しが広がっている。東京の感染拡大に歯止めがかからないかぎり、各地域の頑張りにも限界が出始めてくる。抜本的な感染抑制措置を国全体でやってもらう必要があり、蛇口をしめるための対策が急務だ」と述べました。