年末年始の支援は? 臨時窓口や食料支援 ホテル無償提供も

新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり収入が減少したりして生活に困窮している人たちに向けて、自治体の中には、年末年始も相談を受け付けたり、食料を支給したりするなど、支援の動きが広がっています。主な取り組みをまとめています。

年末年始に臨時窓口や相談電話

NHKが東京23区に取材したところ、年末年始に臨時の相談窓口を設けたり電話相談を受け付けたりすることを決めたのは22日の時点で4つの区となっています。
●江戸川区は今月29日から1月3日までの間、いずれも午前9時から午後5時まで区にある3か所すべての福祉事務所で相談窓口を開設します。

●足立区は今月29日は午前9時から午後7時まで、今月30日から1月3日までは午前9時から午後4時まで区役所を開庁し、区や福祉事務所の職員が窓口での相談に応じます。

●品川区は今月30日と1月2日の2日間、午前9時から午後5時まで、区の職員が電話相談に応じます。

●練馬区は今月29日から1月3日までの間、午前9時から午後5時まで、区の職員が電話相談に応じます。

このほか、新宿区と渋谷区も年末年始に相談を受け付けることを検討しています。

それぞれの区では、電話番号などの詳しい情報をホームページなどで周知することにしています。

また、緊急の場合に食料を渡すことができるように準備を進めている区もあります。

●中央区は年末年始に相談窓口などは設けませんが、区役所に職員が待機し、仕事や住まいを失った人などからの緊急の相談に対応したり、状況に応じて食料を手渡すことができるよう準備を進めるということです。

窓口で相談受け付け 東京 江戸川区では

東京 江戸川区は今月29日から来月3日までの間、3か所の福祉事務所で相談を受け付けることになりました。

生活に困窮する人などからの相談を受け付けている江戸川区の窓口には「新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなった」「収入が減って生活ができない」などの相談が相次いでいます。

年末年始も相談が増えるおそれがあることから、江戸川区は、区にある3か所の福祉事務所で相談を受け付けることになりました。
相談の内容や状況に応じて、生活保護の申請の受付や一時的な宿泊施設の提供などを行うことにしています。

その日の食事に困るなど緊急性が高い場合は、区で用意した乾パンを支給できるよう準備も進めています。
また、江戸川区は新型コロナウイルスの感染が拡大する中、路上で生活する人の生活状況が悪化していないか確認する取り組みを続けています。

22日は区の職員や相談支援員3人が荒川の河川敷などを歩いてまわり、路上で生活する人たちに声をかけるなどしました。
江戸川区生活援護第一課の安田健二課長は「年末年始を前に生活ができないと苦しんだり追い込まれている人も多いと思います。そうした不安を少しでもやわらげることができるよう、誰ひとり取り残さないという姿勢で継続して対応にあたっていきたい」と話していました。

NPOの協力で食料支援 東京 狛江市

東京 狛江市では生活が困窮して食料の支援を受ける人が例年より増えています。市はNPOの協力を依頼し年末年始も支援を続けるために食料の準備を進めています。

狛江市ではコロナウイルスの影響で働いていた飲食店が休業し生活が苦しいという相談や、アルバイトがなくなり食べ物に困っていると支援を求める人が相次いでいます。

狛江市によりますと、食料の支援はことし5月以降、月に100件を超えていて、件数は例年の2倍を超えているということです。
このため年末年始も支援を続けるために食料の準備を進めていて、市から依頼を受けたNPOのスタッフが寄付された米や缶詰などを袋に詰める作業を行っています。

市では2人から3人の世帯用と1人暮らしの人のための食料を合わせて10セットを作り、年末年始に生活に困り、市役所に訪れた人に職員が生活の状況などを聞き取ったうえで手渡すことにしています。
狛江市福祉相談課の宗像秀樹課長は「年末年始、安心して生活していただくために緊急の相談を受け付ける体制も整えます。新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、困ったことがあれば相談してほしい」と話していました。

弁護士やNPOなど 緊急の電話相談

新型コロナウイルスの影響で年末年始にかけて仕事を失う人が増えるおそれがあるとして、弁護士や労働組合などで作る支援グループはおおみそかの今月31日から1月3日まで緊急の電話相談を行うことになりました。

弁護士や労働組合、NPOなどで作る支援グループのメンバーが22日、記者会見し明らかにしました。

支援グループでは新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり収入が大幅に減ったりして生活が苦しくなる人が増えているとして、ことし4月から合わせて5回の電話相談を行ってきました。

寄せられた相談は、これまでにおよそ7700件にのぼり、その多くは非正規雇用で働いていた人からの相談で「所持金がほとんどなくなり生活ができない」という声が目立っているということです。

年末年始にかけて仕事を失う人が増えるおそれがあるとして、支援グループはおおみそかの今月31日から1月3日までの間、いずれも午前10時から午後7時まで電話相談を受け付けます。

全国の5か所程度で受け付けることにしていて、このうち東京 新宿区の事務所では弁護士や労働組合のスタッフなど5人が相談に応じます。
支援グループの猪股正弁護士は「感染拡大の影響が長期化していてギリギリの生活を余儀なくされている人が増えていると感じている。1人だけで悩まずに相談をしてほしい」と話しています。

電話相談の番号は「0120-157-930」です。

東京都 ビジネスホテルの部屋を無償提供

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事がなくなるなどして住まいを失った人に対し、東京都は年末年始にビジネスホテルの部屋を無償で提供する取り組みを始めています。
都がビジネスホテルの部屋を無償で提供するのは来月19日までの間で、区や市の福祉事務所や自立相談支援機関の窓口とも連携して、仕事がなくなるなどして住まいを失った人に対して、宿泊先を紹介します。

このうち新宿 歌舞伎町にある都の相談窓口には、21日、行き場のない人たちからの電話が相次いでいました。

都は緊急事態宣言が出された時期にも、ビジネスホテルを提供する取り組みを行い、4月から6月までの間に延べ1250人ほどが利用したということです。

東京都地域福祉課の畑中和夫課長は「コロナ禍の年末年始で、日払いや飲食業の仕事などがいつも以上に減り、不安な思いをする方が多いと思います。ぜひ遠慮なく相談してください」と話していました。

都は年末の今月29日、30日、それに年始の来月2日にも臨時で窓口を開くほか、電話でも相談を受け付けています。

電話番号はフリーダイヤルの0120-874-225、女性専用の番号は、0120-874-505です。