「検診拒否は不当」として旭川医科大学学長を提訴

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、旭川医科大学病院が、クラスターの発生している病院に勤める職員の子どもの検診を断ったのは不当だとして、子どもの父親が、旭川医科大学の学長を相手取り、損害賠償を求める訴えを起こしました。

訴えによりますと、旭川医科大学病院は先月、先天性の病気の検診を予約していた少年について、母親がクラスターが発生している病院の職員であることを理由に「院内のルールだ」として受診を断ったということです。

この際、母親は、自分のPCR検査の結果は陰性で、感染者の濃厚接触者でもないと説明しましたが、受け入れられなかったとしています。

このため、この子どもの父親は、受診を拒否したのは不当だとして旭川医科大学病院を運営する旭川医科大学の学長を相手取り、30万円の損害賠償を求める訴えを、旭川簡易裁判所に起こしました。

旭川医科大学病院は、新型コロナウイルスの感染者の治療に当たっている旭川市内の5つある基幹病院の1つで、クラスターが発生した病院からの感染者の受け入れも行っています。

父親は、NHKの取材に対し「母親がクラスターの発生した病院に勤務しているだけで、息子までが受診を拒まれるとは思っていなかった。信頼している病院だったので、非常にショックです」と話しています。

一方、旭川医科大学は「訴状が届いてないためコメントは差し控えます」としています。

専門家「とんでもないこと」

医療の倫理に詳しい医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「訴えの内容が本当であればとんでもないことだと思う。旭川医科大学病院としては、これ以上、院内感染が発生すると地域医療が崩壊するおそれがあるとして神経質になっているのかもしれないが、対応を改めるか、それとも誤解があるのであればしっかりと説明すべきだと思う」と話しています。