変異したコロナウイルス 確認された国からの水際対策は

感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルス。
WHOによりますと、21日の時点で、イギリスやデンマークなど少なくとも6か国で確認されています。こうした国々から日本にやってくる人たちに対し、現在、どのような水際対策が取られているのでしょうか。

入国拒否の対象地域

変異した新型コロナウイルスが見つかった国のうち、イギリス、アイスランド、イタリア、オランダ、デンマークは、入国拒否の対象地域に指定されています。
このため、入国が認められるのは原則、日本人と中長期の在留資格を持つ外国人です。

入国時に空港の検疫で検査を受け、結果が出るまでは空港内か、検疫所が指定する施設で待機する必要があります。
結果が陰性であっても、入国から14日間は、公共交通機関は利用せずに自宅などで待機し、保健所などの健康確認の対象となります。

入国拒否の対象ではない国

一方で、同じく変異したウイルスが見つかったオーストラリアは、入国拒否の対象には入っていません。
このため症状が無ければ、入国時に空港の検疫で検査は求められません。
ただし、入国から2週間は公共交通機関を利用せず自宅などで待機するよう求められています。

成田空港 防護対策を強化

イギリスで、変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、水際対策を担う成田空港の検疫所は22日から、ヨーロッパから到着するすべての旅客便を対象に検疫官などの防護対策を強化しました。

午前9時すぎ、オランダのアムステルダムから70人が乗った便が到着すると、検疫所の職員はマスクや手袋、フェイスシールドに加えて、新たにガウンと帽子も着用して帰国者や入国者の検査を行っていました。
成田空港では現在イギリスとを結ぶ旅客便は運航されていませんが、フランスやドイツなどのヨーロッパ各国とを結ぶ便が1日に数便、運航されています。
成田空港検疫所は「職員の感染を防ぎながら水際対策を徹底していきたい」としています。

専門家「早めに水際対策強化を」

変異した新型コロナウイルスについて、海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は、まだ詳しい性質が分かっていないため、注意をしておく必要があるとしたうえで「ことしの春先に国内で感染が拡大したのは、中国からの水際対策に重点が置かれる一方で、気付かないうちにヨーロッパで広がっていたウイルスに感染した人が数多く入国したことが原因だと考えられている。今回の変異株は、デンマークなどほかのヨーロッパ諸国やオーストラリアでも見つかっているので、すでにある程度広がっているということを前提にして、早めに水際対策を強化する必要がある」と指摘しました。

求められる対策について濱田教授は「現在、ヨーロッパ各国に対しては厳しい入国制限がかかっているが、日本人や日本に居住する外国人は検査をしたうえで入国できるし、実際にそうした中から空港検疫で陽性になる人も見つかっている。あとから発症する人が出てくる可能性もあるので、14日間の健康観察を徹底することが最も重要だ。また、オーストラリアは現在、症状がなければ検査なしで入国できるが、より一層、健康観察の徹底が必要になってくると考えている。さらにヨーロッパなどからの入国者で陽性の人がいれば、ウイルスの遺伝子まで調べ、実際に水際まで変異株が迫っているのか、モニタリングをするべきだ」と話しました。

空港検疫 感染確認の数が増加

入国者を検査する空港の検疫現場では、感染の確認が増加しています。
厚生労働省によりますと、空港の検疫で感染が確認された人は
▽3月から増加傾向が続き、
▽7月には274人にのぼりましたが、その後、減少に転じ、
▽9月は169人でした。

しかし、そこから再び増加。
▽10月は221人、
そして
▽先月は352人と、2か月で2倍に増えました。
今月は21日までに、255人の感染が確認されています。