「線虫」でがん発見検査 福岡県職員対象に実施 検診率向上へ

優れた嗅覚をもつ「線虫」という生物に、ヒトの尿のにおいをかがせてがんを発見する検査が、福岡県の職員を対象に始まることになりました。新型コロナウイルスの影響で大幅に低下した、がんの検診率アップがねらいです。

この検査は、体長1ミリほどの「線虫」を使ってがんを発見する検査技術を活用するもので、東京のベンチャー企業が開発しました。

「線虫」は、目がない代わりに嗅覚が発達していて、がん患者の尿のにおいに集まる特性があります。

この特性を活用した検査技術による臨床試験では、1滴の尿からステージ「0」から「1」の早期のがんでもおよそ85%の確率で発見できたということです。

ことし1月から実用化が始まっていて、21日は技術を開発した企業の担当者が福岡県庁を訪れ、がんの検診率を上げる取り組みの1つとして線虫を使ったがん検査を県庁の職員500人を対象に実施すると報告しました。

21日から検査の申し込みが始まり、県によりますと、昼の時点ですでに400件を超える申し込みがあったということです。

また、来年の春以降、福岡県内60の市町村を対象に、家庭で採取した尿を会社が受け取りに行くサービスも始めるということです。

日本対がん協会によりますと、新型コロナウイルスの影響で、ことし5月のがん検診の受診件数は前の年の同じ月の8%にとどまり大幅に低下したということです。

ベンチャー企業の広津崇亮代表取締役は「コロナ禍の影響で検診率が下がっている中、簡単で精度の高いこの検査で検診率を7割ほどに上げていきたい」と話していました。