130人集団感染の北海道療育園 障害者介護で対策の難しさ語る

100人を超える大規模なクラスターが発生している、北海道内で最大規模の障害者福祉施設の園長がNHKの取材に応じ、障害者を介護する際に密着が避けられない現場での感染防止対策の難しさや厳しい現状を語りました。

旭川市の「北海道療育園」は、重い障害のある人たち300人余りが医療や介護のサービスを受けながら暮らしている北海道内最大規模の障害者福祉施設です。

今月1日にクラスター=感染者の集団の発生が確認されてからおよそ3週間で感染者は130人に急増し、自衛隊の医療チームの支援も受けて収束に向けた対応がとられています。

こうした中、北海道療育園の林時仲園長がNHKの取材に応じ、これまでの経緯や施設内の様子を語りました。

この中で林園長は、最初にクラスターが発生した際の対応について、患者を転院できなかった実情を明らかにしました。

林園長は「医療機関に転院させることも考えたが、治療だけではなく介護も必要になるため、転院先の負担や利用者のことを考えて転院を取りやめた。建物内には陰性の利用者もいただけにつらい決断だった」と述べ、施設全体への感染拡大を避けるため、最初に感染者の出た建物「第3療育課」を隔離せざるを得なかった厳しい状況を証言しました。

しかし、隔離したにもかかわらず隣の建物にも感染が広がりました。

現場では、障害者を介護する際に密着が避けられないため、感染が広がった可能性があるということです。

林園長は「利用者の多くは介護が必要で、職員は食事やおむつの交換などのため密着しなければならない。利用者が感染していた場合、注意をしていてもどうしてもうつりやすいと考えられる」と述べ、感染防止対策の難しさを訴えました。

感染が確認されている人たちは現在、いずれも軽症か無症状だということで、北海道療育園は、保健所の協力も得ながら、一刻も早い収束を目指したいとしています。