コロナで受診控えか 症状悪化してから移植受ける子ども増加

新型コロナウイルスの影響で受診控えが問題となっていますが、小児医療が専門の国立成育医療研究センターで、ことし生体肝移植を受けた子どもたちを調査したところ、去年よりも症状が悪化してから移植を受ける子どもが増えていることが分かりました。

調査を行ったのは、国立成育医療研究センター高度感染症診断部の山田全毅医師らのグループです。

国立成育医療研究センターには重い肝臓病のため移植が必要な子どもたちが全国の病院から紹介されてきていて、毎年50件ほどの生体肝移植の手術が行われています。

グループでは、ことし5月から10月までに移植を受けた子ども15人について、手術前の肝臓の状態などの症状を詳しく調べ、新型コロナウイルスが無かった去年移植を受けた子どもと比較しました。

その結果、ことし移植を受けた子どもたちは手術前の重篤化を示す数値の平均が去年よりも2倍以上高くなっていて、より悪い状態で移植を受けていたことが分かったということです。

グループでは、新型コロナウイルスの影響で受診が遅れたり、かかりつけの病院からの紹介が遅れたことが影響している可能性があるとしています。

調査を行った山田医師は「受診を控えて病状が悪化する傾向はほかの病気でも生じている可能性がある。病院は感染対策を徹底しているので、子どもの体調が悪かったらすぐに病院を受診してほしい」と話していました。