公立小学校1クラス定員 40人以下から35人以下で合意

来年度・令和3年度予算案の決定に向けて麻生副総理兼財務大臣と各大臣による閣僚折衝が行われ、萩生田文部科学大臣との折衝では、少人数学級の実現に向けて、公立の小学校の1クラスの定員を40人以下から35人以下に引き下げることで合意しました。

麻生副総理兼財務大臣と各大臣との折衝は、午前10時半ごろから始まりました。

このうち、萩生田文部科学大臣とは、公立の小学校の1クラスの規模を小さくする「少人数学級」の実現などについて協議しました。

その結果、来年度から令和7年度までの5年間をかけて、公立の小学校の1クラスの定員を40人以下から35人以下に引き下げることで合意しました。

また、野上農林水産大臣とは、農林水産物や食品の1年間の輸出額を、2030年までに5兆円に引き上げる目標の達成に向けて必要な予算を確保することが決まりました。

このほか、岸防衛大臣との折衝では、航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発に関連する経費について協議しました。

そして、田村厚生労働大臣とは、国が定める薬の価格などをめぐって最終的な調整が行われました。

17日の閣僚折衝を踏まえて、政府は来週21日に予定している閣議決定に向けて、大詰めの調整を進めることにしています。

萩生田文科相「新たな教育スタート」

萩生田文部科学大臣は、閣僚折衝のあとの記者会見で「学級編制の基準の計画的な引き下げは、およそ40年ぶりとなる。35人学級になれば、一人一人の先生が児童・生徒と向き合う時間が増え、新たな教育がスタートすることになる。子どもたちの学力アップにもつながっていくと信じている」と述べました。

学校現場から歓迎の声

17日の閣僚折衝で来年度から5年間かけて、公立の小学校の1クラスの定員を40人以下から35人以下に引き下げることが合意されたことを受け、都内の小学校では「大きな山が動いた」という歓迎の声が聞かれました。

東京 渋谷区の笹塚小学校では、5年生の2クラスで40人が在籍しています。

5年生の担任の山口大輔教諭は「40人は圧迫感があって多いなと感じることがあり、給食の準備やテストの丸付けなど授業以外のところで時間が割かれています。35人になると人数が減った分、より多くの時間をかけて子どもたちを見ることができ、指導が届きやすくなると思います。子どもたちにとっても快適な教室環境になるのでどんどん進めてほしい」と話していました。

また、荒木憲秀校長は「1学級の人数を減らしたいというのは、教育現場からずっと上げ続けてきた声ですし、それが今回30人の要望が35人になったということではありますが、それでも40年間動かなかったものが動いたのは非常に大きな驚きとともによかったという思いです。来年度の導入に向けて、教室や空調の準備などいろいろ混乱はあるでしょうが、ひとまずこの大きな山が動いたことは歓迎したい」と話していました。

専門家「改革の第一歩」

教育現場の実情に詳しい日本大学文理学部の末冨芳教授は、まず日本の教育現場の現状について「日本は教員たちの命を削った働き方で、40人学級でも国際的に高い学力を維持してきたという憂慮すべき状況がある。さらにコロナへの対応と、新しい学びの実現もあり、限界をはるかに超えているのが今の学校現場の全体状況だ」と話しました。

そして、今回の35人学級への引き下げについて、「40人詰め込んできた日本の学級に、ゆとりをもたらす意味で非常に大きな意義がある。すべてが解決するような万能な方法ではないが、改革の第一歩として大事で、一人一人の子どもを丁寧に見ながら、教え方や子どもと学ぶ方法を進化させていくきっかけになる。小学校低学年では、不登校やいじめ、それに暴力行為も増加していて特に小学校で必要度が高い改革の1つだった」と話しています。

そのうえで実現にあたっては、「35人への引き下げと合わせて教員の確保が課題として挙げられる。現在、教員が確保しにくい理由は、新規採用を絞りすぎて待遇が悪い非正規教員を増やしすぎた点にある。働き方改革とともに新規採用を増やすことをセットで行わないと、改革全体として高い効果を上げていくことは難しい」と指摘しています。

そして、「多くのOECD諸国は教育投資を最優先の政策分野にしている。教育こそがその国の未来の成長をつくる最も重要な投資だからだ。私たちはよい未来に向かっていけるのか、それとも公教育の崩壊という最悪のシナリオに向け転落していくのかその岐路に立っている。いま投資をしなければ、21世紀後半には日本は先進国ではなくなるかもしれないという危機感を持って政府全体で考えていただきたい」と述べて、継続的な改革を求めています。