「医療崩壊始まりつつある」断らざるをえないケースも 埼玉

新型コロナウイルスの重症患者が増加する中、埼玉県内の医療現場では受け入れを断らざるをえないケースも出てきています。対応にあたる医師は「通常の診療に影響が出始めていて医療崩壊が始まりつつある」と話しています。

埼玉県川越市の埼玉医科大学総合医療センターではことし4月以降、新型コロナ患者専門の病棟を設け人工呼吸器が必要な重症患者などの対応にあたっています。

1週間ほど前から重症患者の受け入れ要請が相次ぎ1日に複数の要請が入る日もあったということで、こうした場合、ベッドが空いていてもスタッフの負担などを考慮し断らざるをえないケースもあるといいます。

この病院の総合診療内科・感染症科の感染症専門医の岡秀昭教授は「1人の重症患者に対応するためには多くのスタッフが必要で、残念ながら要請を受けられないケースも生じています。医療現場はコロナウイルスとの闘いから1年近く経過して、現在もっとも大きな感染の波が来ている状況なので非常にしんどいというのが正直なところです」と話しました。

そのうえで「『医療崩壊』の定義が定かではないため表現は難しいが、通常の診療に影響が出始めている以上、医療崩壊が始まりつつあると言えると思います」と話していました。

また、今後の対策などについては「今回の感染の広がりは若い人が家庭に持ち込み、高齢者や持病のある人が重症化しているのが特徴です。従来の年末年始は子や孫が親や祖父母に会いに帰省するものですが、感染を広げてしまわないか懸念があります。体力の弱い人に感染させてしまうことをイメージしながら、帰省や移動については慎重に検討してほしい」としています。