コロナ中等症までの専門病院 患者の受け入れ困難に 愛知 岡崎

新型コロナウイルスの中等症までの患者を専門に受け入れている、愛知県岡崎市の県立愛知病院は9日、新たに1人が入院し、入院患者はこれまでで最も多い27人となりました。患者の多くは、介助が必要な高齢者で看護師の負担が大きく、これ以上の受け入れは難しくなってきているということです。

愛知県岡崎市に、ことし10月15日に開院した愛知県立愛知病院は、中等症と高齢の軽症者を受け入れる専門病院で、重症患者に対応する病院の負担を減らすことが目的です。

県と病院によりますと9日、新たに1人が入院して入院患者は、開院以来、最も多い27人となりました。

看護師は現在、35人いますが、入院患者の多くは、食事やトイレなどの介助が必要な高齢者で、看護師の負担も大きいということで、これ以上の受け入れは難しくなってきているということです。

この病院の病床の数は50床で、県は最大100床まで増やす計画ですが、看護師の確保の面から難しい状況です。

愛知県医療計画課は「新たな看護師の確保に努め、より多くの患者を受け入れられるよう取り組みたい」と話しています。

愛知県の病床状況は?

新型コロナウイルスに感染して、愛知県内の医療機関に入院している人の数は、8日の時点で423人と、これまでで最も多くなっています。

愛知県は、感染者のための病床をこれまでに900確保しているとしています。

これは、県内の医療機関から受け入れ可能だとして報告された病床数を積み上げたもので、900の病床では、すぐに感染者を受け入れることができるとしています。

8日の時点での病床使用率は50%を下回っています。

このうち名古屋市内の医療機関から、受け入れが可能な病床として報告が上がっている病床数は297で、市内の医療機関に入院している人は7日時点で、157人です。

このほか名古屋市外からも10人余りが、市内の医療機関に入院しているということですが、100以上の病床が空いている計算になります。

このため愛知県は、名古屋市を含む県内の病床は現時点では、ひっ迫していないという認識を示しています。

一方、名古屋市は対応できる医師や看護師が限られることなどから、実際にすぐに受け入れが可能な病床数は、7日の時点で、およそ180だと説明しています。

このため市内では、すでに9割ほどの病床が埋まっていて、ひっ迫していると説明し、愛知県の認識と食い違っています。

名古屋大学医学部附属病院「ひっ迫している」

名古屋市昭和区にある名古屋大学医学部附属病院では、新型コロナウイルスの患者のため重症者と軽症者などの病床を確保しています。

9日の時点で、重症者用の8床のうち5床と中等症や軽症患者向けの10床程度のうち6床が入院患者で埋まっているということです。

病院では新型コロナウイルスの感染者数の増加に伴い、受け入れる患者も増やしたということですが、新型コロナウイルスの患者の治療には非常に多くのスタッフと手間が必要だということです。

名古屋大学医学部附属病院救急・内科系集中治療部長の沼口敦医師は「ICUは一般的には患者2人に対してナース1人がいればいいと言われているが、コロナの重症患者にはスタッフが2人、3人と多く必要になる。患者の人口呼吸器が外れたら普通ならすぐにつけ直せばいいが、コロナの患者の場合、エアロゾルをまき散らされると私たちにも広まってしまう。普通なら手がかからないような場所にも人を配置しなければならない」と話していました。

また沼口医師は、確保されている病床数のうちの一部は、緊急に処置が必要になった患者のために空けておく必要があることを考慮すると、実際に受け入れられる患者の数はもっと少ないと指摘しています。

沼口医師は「急に処置が必要になった患者が出てきた時のために病床を空けておかなければいけないので、現状としては病床は『ひっ迫している』と言える。現場にいる人間としては、病床が空いていると思ってほしくない」と話していました。

そのうえで「患者が分散してそれぞれしっかり治療する時間があれば頑張っていけるが、何人もの人が1日で来てしまうと、提供できる医療もできなくなってしまう。いっせいに重症の患者が増えるということがないよう、忘年会などは控えてほしい」と呼びかけていました。