皇后さま 57歳の誕生日 新型コロナ 国民への思い述べられる

皇后さまは、9日、57歳の誕生日を迎えられました。皇后さまは、誕生日にあたって寄せた文書で新型コロナウイルスに直面する国民への思いを述べられました。

文書の冒頭、皇后さまは「今年は、特に命の大切さ、尊さについて改めて深く思いを寄せる年になりました」と記したうえで「思いも寄らず世界中が新型コロナウイルス感染症の大きな災厄に見舞われることとなり、大変に心の痛む年でした」と振り返られました。

続いて、日夜、献身的に力を尽くしている医療従事者に「心からの敬意と感謝の意を表したいと思います」と語るとともに「経営破綻や失業に追い込まれるなど、苦境に立たされている方が大勢いらっしゃることにも大変心が痛みます」などと記されました。

このあと、現在も予断を許さない状況が続いているとしたうえで「私たち皆が心を合わせ、お互いへの思いやりを忘れずに、困難に見舞われている人々に手を差し伸べつつ、力を合わせてこの試練を乗り越えていくことができますよう、心から願っております」と述べられました。

皇后さまは、また、ことしを振り返る中で、7月の豪雨で熊本県を中心に多くの人たちが亡くなるなどしたことに触れ「体の不自由な御高齢の方が数多く犠牲になられ、お気の毒なことでした」などと記されました。

そして、国民と直接触れ合うのが難しくなっていることを残念に思うとしながらも、最近、天皇陛下と始めたオンラインによる施設の視察などに触れ「国民の皆様との触れ合いの機会を持てることは有り難く、今後ともそのような機会を大切にしていくことができればと感じております」と述べられました。

皇后さまの体調 医師団の見解

宮内庁は、体調を崩されてから17年になる皇后さまについて、治療にあたっている医師団の見解を公表しました。

この中で医師団は、皇后さまが、新型コロナウイルス感染症のため外出の機会が減少する中、初めての養蚕や「立皇嗣の礼(りっこうしのれい)」の儀式など、感染防止に十分配慮しながら活動を続けるとともに、感染症に関し16回にわたって専門家らの話を聞くなど、国民が直面しているさまざまな困難を心から気遣われていると記しています。

そのうえで「感染症のために活動が制限され、体調が整いにくくなっていらっしゃるなか、工夫を重ねられ、体調を整えられながら活動を続けるよう努力していらっしゃることは、自信につながる望ましいことと考えております」と述べています。

一方で「依然として快復の途上にあり、体調には波がおありです。そのため、大きい行事の後や行事が続かれた場合には、疲れがしばらく残られることもあります」と説明したうえで、引き続き、温かく見守ってほしいという考えを示しています。

お住まいの赤坂御所での映像を公開

皇后さまの誕生日にあたって、宮内庁は天皇皇后両陛下が、お住まいの赤坂御所で歓談される様子を収めた映像を公開しました。

皇后さまは、ことし初めて臨んだ皇居での養蚕でとれた蚕の繭を手に取りながら天皇陛下と笑顔でことばを交わし、「小さくてかわいいね」などと述べられていたということです。

また、皇居でとれた生糸を使うなどして再現された正倉院の宝物に関する特別展の図録などをお二人でひもとかれ、天皇陛下の説明に皇后さまがにこやかにうなずかれる場面も収録されています。