医療体制ひっ迫の旭川市に看護師など10人派遣へ 防衛省

防衛省は、新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制がひっ迫している北海道旭川市に看護師など10人を派遣することになりました。早ければ8日にも派遣し、期間は2週間以内だということです。

防衛省は同じく医療体制がひっ迫している大阪府への看護師の派遣についても調整を進めています。

旭川市では医療機関や福祉施設で感染者の集団、クラスターの発生が相次ぎ、看護師が不足して医療体制がひっ迫する事態になっています。

北海道の鈴木知事は8日夕方、医療支援を行うための自衛隊の災害派遣を要請し、これを受けて災害派遣命令が出されました。

いずれもクラスターが発生している「慶友会吉田病院」と「北海道療育園」にそれぞれ看護師など5人、合わせて10人を派遣し、入院患者の体調管理などを行うということです。

防衛省は受け入れ側の準備が整えば8日にも派遣するとしていて、派遣期間は2週間以内だということです。

また、看護師などはいずれも北海道内の部隊から派遣するとしています。

防衛省は、同じく医療体制がひっ迫している大阪府についても看護師らの派遣に向けて調整を進めていて、今月15日に運用が始まる重症患者専用の医療施設「大阪コロナ重症センター」に高いスキルを持つ看護師を派遣することなどを検討しているということです。

岸防衛相「重症者 死者の発生限りなく食い止める方針に貢献を」

岸大臣は「道内の医療の状況などを踏まえて、北海道に対する応急的な医療支援が必要だと判断した。北海道の受け入れ態勢が整い次第、早ければ、きょう中に、陸上自衛隊北部方面隊の看護官など5人からなる医療支援チームを2チーム、旭川市内の病院に派遣する」と述べました。

また、活動内容について「医療機関の看護師などが行っている業務と同様の業務を想定していて、具体的には医師の補助、検温、血圧測定、入院患者の看護などを行う。防衛省・自衛隊として、重症者、死亡者の発生を限りなく食い止めていくという政府全体の方針に引き続き貢献していきたい」と述べました。

「新型コロナ受けて医療支援」過去の自衛隊の災害派遣は

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、医療支援を行うために自衛隊が災害派遣されるのは今回が4か所目です。

最初のケースは集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への派遣でした。

ことし2月から3月にかけて医師や看護師などを派遣し、PCR検査を行うための検体の採取や乗客の体調管理を行いました。

このときは自治体などからの派遣要請は無く、防衛省が自主的に派遣しました。

また、4月から5月にかけては、乗組員の感染が相次いだ長崎港に停泊中のクルーズ船で医療支援にあたったほか、8月には医療体制がひっ迫していた沖縄県に看護師などを派遣しました。

このほか自衛隊は、感染拡大を受けた災害派遣として航空機を使った離島からの患者の輸送や宿泊施設での軽症や無症状の人の生活支援も行っています。

北海道 鈴木知事「力結集して収束に向け全力尽くす」

北海道の鈴木知事は「旭川市民、道民の生命を守るためには自衛隊の力も借り、この難局にあたっていかなければならないと決断した。力を結集して、集団感染の収束に向けて全力を尽くしていく」というコメントを出しました。